研究課題/領域番号 |
19H02311
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 純 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任講師 (80584408)
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研究分担者 |
木全 真理 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (00553570)
荻野 亮吾 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (50609948)
税所 真也 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (60785955)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 郊外住宅地 / まちづくり / 高齢社会 / コミュニティ活動 / 社会的フレイル |
研究実績の概要 |
本研究は、住民主導で地区計画策定を目指している鎌倉市大平山丸山地区を対象に、公衆衛生、生涯学習、社会学等の分野横断型のアプローチにより、30年後を見据えて、超少子高齢社会における新しい郊外戸建て住宅地像(ビジョン)とその実現手段としての住環境マネジメント手法(計画ツール、法制度、マネジメント体制)を明らかにしていくことを目的とする。 同地区では、住民全戸約1,200名を対象にした質問紙調査を実施し、地域支え合い、移動支援、子育て支援の3つの分科会に分かれて、調査結果の分析を行い、またまち歩き等を通じて、地域診断と地域マネジメントに向けた具体的な活動計画の策定と試行を開始した。 地域支え合い分科会においては、現在の近所づきあいの程度および将来的に希望する地域との関わり合いの分析を行った上で、助け合いの活動の担い手の発掘に着手した。移動支援分科会においては、外出頻度と移動支援へのニーズにより住民のセグメントを行い、各タイプの状況に応じて、求められるソーシャル・パーソナルモビリティのあり方の検討に着手した。さらに、質問紙調査に現れてこない日常的な外出行動(目的地や経路、移動手段、動機等)を把握するために、性別/年齢別に抽出した高齢者に対するインタビュー調査を実施している。子育て支援分科会においては,特に学童期、乳幼児期の支援へのニーズが高いことから、親子共に参加できるサロンの実施を試行しながらニーズ調査を展開した。また以上の研究成果について、町内会の中間報告会や、鎌倉市深沢地区の連合町内会で成果発信を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は初年度ながら、前年度からの体制準備が整っており、早期に質問紙調査を展開することができた。これにもとづいて、当初の予定通り地域診断等が上半期で進めるこができた。その後、3つの分科会において、試行的な活動(サロンや勉強会)を展開しながら、住民主導の地域マネジメントの方針を検討できている。また、研究成果は地区の連合町内会等でも発信を行い、他地域でも類似した取り組みが展開されることとなり、郊外住宅地の住環境マネジメント手法のモデルを普及することにも着手している。他方で、現地への介入が先行しており、今年度は理論面での郊外住宅地の在り方についても深堀していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
(1)30年後を見据えて、超少子高齢社会における新しい郊外戸建て住宅地像(ビジョン)とその実現手段としての住環境マネジメント手法(計画ツール、法制度、マネジメント体制)を明らかにすべく、今年度は、地域マネジメントを展開していく。地域支え合い分科会においては、担い手の発掘と同時に、ご近所での助け合いの活動活動を行う。ご近所を支援してもよいと答える方は多いが、ご近所の人に支援して欲しいと考える人が少ない、「お互い様」にならない状態をどのように乗り越えるか、ニーズと担い手のマッチングの方法を検討していく。移動支援分科会においては、住民らと質問紙調査に現れてこない日常的な外出行動(目的地や経路、移動手段、動機等)を把握するために、性別/年齢別に抽出した高齢者に対するインタビュー調査を実施し、移動しやすい住環境づくりに向けたより詳細な計画を立案する。子育て支援分科会においては,引き続き、親子共に参加できるサロンの実施を試行しつつ、子育て世代の居住循環が起きるためには、どのようなライフスタイルの人をどのように受け止めていけばよいのか検討していく。 (2)これらの活動の結果として、同地区の住民の行動や意識がどのように変化するか、2回目の住環境点検調査を行う。 (3)海外調査を検討しているが、新型コロナの影響で、今年度はネット上での情報収集にとどめ、2021年度に調査を行うこととする。
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