研究課題/領域番号 |
19H02314
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
阪田 弘一 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (30252597)
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研究分担者 |
高木 真人 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (10314303)
藤原 拓 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (10314981)
西村 文武 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60283636)
村本 真 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (70510296)
小川 里美 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (80442010)
張 浩 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (90452325)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 災害 / 島しょ / 避難 / コミュニティ知 / AR / 避難支援計画 / 支援ツール |
研究実績の概要 |
島しょは災害発生時には離島ゆえ孤立し、外部からの救援・支援が困難なことが予測される。発災直後は多くの要支援者を含む島民そして観光客の生命維持・安全確保が大きな課題となる、 本研究は観光化が進み、外部者の災害時リスクにも備えなければならない島しょである宗像大島をケーススタディに、島内で培ってきたコミュニティの相互扶助体制をベースに、災害看護と都市・建築防災、水環境の3つの学問領域から、どんな災害弱者も取りこぼさない島民と観光客の自助・共助による避難環境を構築するための支援ツールの開発を通して、島しょ避難支援モデルを提案するものである。 研究は大きく、① 島民および外国人を含む観光客に適切には認知されていない宗像大島の災害時リスクおよびリソースの調査・発掘。② 島民および観光客の災害時避難をサポートするための、各リソースの合理的な運用を促すうえで新たに必要な知見や技術を用いた支援ツールの開発、の2段階で進めた。 今年度は、①のフェーズにおける、災害時支援に関わる各種組織の支援体制の実態、要支援者の避難行動を住民で支える体制の実態把握により、災害が起こっても自ら避難をしてまで生き延びたくないが、適切な他者が支援に来てくれるのであれば避難を検討してもいいという高齢者層が一定数存在していることを明らかにした。また②のフェーズにおいて、3DCGによるハザードマップを作成し、その閲覧による災害リスクに対する認識の向上についての評価実験を実施し、一定の効用と課題を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目標は大きく、 ①宗像大島における災害時のリスクとリソースの調査 ②災害初期に必要とされる生命の危機からの回避、応急的な居住空間とケア環境の構築に関わる島民の自助・共助機能を向上させるため、適切な避難実施を促す情報伝達と防災・相互支援教育に関わる多角的な支援ツールによって補完される支援モデルの開発・検証、である。 2021年度はこれまでと同様に、コロナ禍により、①については、研究方法の主軸となる現地踏査を計画通り実施できない、②の支援ツールの試作品の現地での評価実験に関わる予定であった、研究協力者である海外のメンバーとの活動が困難となる、などの理由により当初計画から遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに得られた知見をもとに、島民および観光客の災害時避難をサポートするための、各リソースの合理的な運用を促すうえで新たに必要な知見や技術を用いた支援ツールの開発を進める。そのプロセスでは、開発用機器の充実、専門技術者への効果的な業務発注、コロナ禍で現地での実装・検証実験が困難な場合の代替計画、などの選択肢を検討しながら、島内の災害リスクの認識の強化と要避難支援者のための適切な避難計画策定、の大きく2つの観点から、ユーザーの特性を考慮しデジタル・アナログ技術のどちらを採用すべきかの検討も含め、開発を進めることとする。
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