研究課題
島しょは災害発生時には離島ゆえ孤立し、外部からの救援・支援が困難なことが予測される。発災直後は多くの要支援者を含む島民そして観光客の生命維持・安全確保が大きな課題となる、本研究は観光化が進み、外部者の災害時リスクにも備えなければならない島しょ宗像大島をケーススタディに、島内で培ってきたコミュニティの相互扶助体制をベースに、災害看護と都市・建築防災、水環境の3つの学問領域から、どんな災害弱者も取りこぼさない島民と観光客の自助・共助による避難環境を構築するための支援ツールの開発を通して、島しょ避難支援モデルを提案するものである。研究は大きく、① 島民および外国人を含む観光客に適切には認知されていない宗像大島の災害時リスクおよびリソースの調査・発掘。② 島民および観光客の災害時避難をサポートするための、各リソースの合理的な運用を促すうえで新たに必要な知見や技術を用いた支援ツールの開発、の2段階で進めた。結果、①では、災害時支援に関わる各種組織の支援体制の実態、要支援者の避難行動を住民で支える体制の実態把握により、災害が起こっても適切な他者の支援なしには避難をしたくない高齢者層が一定数存在していること、要避難支援者の避難支援が期待される青年~壮年層の多くが島の主力残業である漁業で島を離れている実態を明らかにした。②では、被災者の適切な避難行動を支える支援ツールとしてのスマートフォンで閲覧できるデジタル3Dハザードマップ、島内で起こりうる水害を模型上で再現・確認できるハザードジオラマ、島内を探索しながらその場の災害リスクをスマートフォン上で閲覧できるARによって体験できるAR避難教育ツール、そして災害時避難要配慮者の個別避難計画策定のための、最適な要支援者と支援者の組み合わせの最適化に寄与する意思決定支援プログラム、の開発をそれぞれ行い、評価実験を実施しその効用と課題を確認した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本建築学会近畿支部研究報告集
巻: 63 ページ: 印刷中