研究課題
本研究の最終年度である2022年度は、これまでの成果をとりまとめるべく、これまで得てきた知見を概観した上での議論を行い、小目的④に掲げている汎用的な「低密居住市街地モデル」(既成市街地再生型、郊外住宅地持続型)の構築を進めてきた。得られた知見は、概ね以下の4点である。ひとつは、生活利便性の確保である。買い物や移動の利便性がある程度確保できれば、郊外に立地する低密市街地であっても、一定の市街地更新が起こっていることもわかっており、持続性が得られる可能性があることが明らかになっている。次に、低密市街地で想定されるライフスタイルとそれを実現する住環境との関係である。特に自動車に依存する場合と公共交通を中心に生活する場合とでは大きく条件が異なってくる。また、都心部の既成市街地と郊外住宅地とを分けて考察する中で、同じ地方都市の中でも異なるライフスタイルを見て取ることができ、ライフスタイルと住環境との関係が重要なファクターとなっていると言える。上記2点と大きく関係するのが、3点目のインフラ、交通の整備である。利用者がそれほど多くない中で、費用対効果を考慮しつつインフラを整え、公共交通網を維持するのは非常に難しい課題であるが、いくつかの都市では何とかうまく実現しており、そうした知見をモデル化して汎用性を持たせることによって、他都市に適用することも可能である。そして4点目は、住宅地のマネジメントである。制度として地区計画を活用する事例を中心に研究を進めたが、地区計画に限らず、地域の居住者が自らマネジメントを行い、行政等が適切に支援することで低密度市街地であっても救うことが可能となり、持続性を付与することが可能となる。なお、成果の公表(論文発表等)は2023年度以降も継続して検討を進め、実施していく。さらに、本研究の成果をもとにした公開のシンポジウムを2023年度中に開催する予定である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本建築学会計画系論文集
巻: 88 ページ: 602~609
10.3130/aija.88.602
日本建築学会技術報告集
巻: 29 ページ: 384~387
10.3130/aijt.29.384
巻: 87 ページ: 1527~1538
10.3130/aija.87.1527