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2019 年度 実績報告書

ベトナム香江流域圏における歴史生態学的環境の持続的マネジメント計画論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 19H02323
研究機関早稲田大学

研究代表者

佐藤 滋  早稲田大学, 総合研究機構, 上級研究員(研究院教授) (60139516)

研究分担者 川原 晋  首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10367047)
平井 幸弘  駒澤大学, 文学部, 教授 (30181134)
古川 尚彬  首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任助教 (80454106)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード水環境マネジメント / エコミュージアム / 適正技術 / 文化的景観 / 皇帝陵墓 / アクションリサーチ / ユネスコ世界遺産 / エコスタディツアー
研究実績の概要

第1に、GIS上で統合されたデータベースの基本を作成し、嘉隆帝陵墓及びその周辺集水域において、環境構成原理の解明を含めた物的構成の解明を進めた。また、カウンターパートであるフエ遺跡保存センターによる嘉隆帝陵における考古学的な発掘調査と並行し、水利・治水・潅漑設備の復元想定と全体の水マネジメントシステムの解明を進めた。そして、これを詳細に解明するために現地における写真測量などの必要性が生じ、現地の協力組織にドローンを用いた航空写真撮影を依頼し、GIS上で地質図などと重ねることで分析を進めた。
第2に、嘉隆帝陵墓及び周辺地域において、多重な地域スケールによる山、河・水路、及び主要な施設や集落の組み立てによる地域環境の構成原理の解明を行った。すなわち、周辺の象徴的な山の山頂への軸線・見通し線の存在、及びこれらと水路、池・湖、及び溜池などの造景要素及び潅漑設備との関係を解明を、山水・風水の方法として解明した。これにより、狭域の集水域、すなわち周囲の囲堯する山々との関係だけでなく、広域でのシンボル的な山々の山頂が明確に関係づけられていて、広域の山水の構成を意識した施設の選地や配置と構成が計画がなされていることが明らかになった。
第3に、嘉隆帝陵墓を中心とした集水域を魚眼図として表現した絵図(天授局図奉、以下「天授陵魚眼図」と仮称する。工部省から関連する定門村等に陵墓完成の後に授与されたとされているが、正確な経緯は不明。)の分析から、その移動する視点場を特定して、図に表現されている施設の位置関係を特定した。
第4に、現地調査と、ドローンによる試験的に撮影した航空写真により、嘉隆帝陵の水利システムと周辺農村の潅漑システムを、有機的に関連付けている施設とその仕組みを仮設的に解明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Covid 19による新型肺炎の感染拡大により、3月に予定していた現地調査ができなかった。そのため検討を進めていたドローンにより撮影した航空写真の分析と、三次元データ化による地形条件の解読を基礎とした、水利施設などの本研究で仮称しているHUEM(伝統的技術と近代技術,そして集落 の営み,景観が融合した適正技術の集結した文化的景観の最小単位でもある.当該研究ではこの最小単位をHolonic Unit for Environmental Managementと名付けた。)のモデル的に行う予定だった具体的な仕組みの解明と確認をとおしての理論的な検討は、次年度の調査に繰り越しとなった。しかし、これまで蓄積した現地調査資料、試験的に撮影したドローンによる航空写真等により、仮設的な検討は進んでおり、次年度以降に、Covid 19 が収束し、ベトナムでの現地調査が可能となれば、予定していた研究計画の内容は取り戻すことが可能であると確信している。

今後の研究の推進方策

前年度に持ち越しとなったHUEMの抽出とその具体的な仕組みの確認による方法論の検討を進めるとともに、
2020年度に想定していた研究計画通り、
第1に、皇帝陵の建設過程と流域環境の形成及び変容過程のGISデータベースの構築を進める。資料集積,及び現地確認,ヒヤリング調査、及び、本年度からの繰り越し資金によるドローン撮影データの三次元処理による分析による結果をGISデータベースとして集積する。そして、4 つの皇帝陵の環境構成及びその変化を図化する。あわせてエコミュージアムとしての地域全体を表現するマップを作成し、前年度からの繰り越し資金の活用により現地でのエコスタディツアーのコンテンツとしての活用方法を、現地での検討によりシミュレーションする。
第2に、対象流域圏全体での農業水利施設を中心とした仮称HUEMの抽出と復原的考察を進める。基礎的な環境制御施設を核にした複合体としてのHUEMを抽出し,その類型的モデル化を行い,その機能不全による地域環境への影響を解明する。あわせて試験的に修復のための 基礎調査を行い,環境マネジメントに関わる機能を位置づける。これを元に環境デザイカタログの枠組みを検討する。
また、合わせて、嘉隆帝陵墓などに影響を及ぼしていると考えられる、隣接地域に存在する阮朝以前の広南阮氏陵墓に関する調査を実施することとする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Hue Monument Conservation Center(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      Hue Monument Conservation Center
  • [学会発表] Experiences around the concept of “buffer” as integrator of nature-culture activity links and values for the historic ecosystems of the Nguyen Tombs in Hue, Vietnam2019

    • 著者名/発表者名
      Alba Victoria ZAMARBIDE URDANIZ,Shigeru SATOH, Naoaki FURUKAWA,Yukihiro HIRAI,Susumu KAWAHARA
    • 学会等名
      ICOMOS Advisory Council Scientifc Symposium
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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