研究課題/領域番号 |
19H02327
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
吉良 森子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 客員教授 (10739840)
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研究分担者 |
小岩 正樹 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20434285)
小浦 久子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30243174)
木谷 建太 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (50514220)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 都市観光 / 歴史的都市の持続的発 / グローバル時代の観光と都市居住のバランス / 都市の近代化と観光の発展 / 市民活動による歴史的都市の暮らしの保持 / 自治体・市民・事業者を横断するプラットフォーム |
研究実績の概要 |
2020年度はコロナ禍の影響で視察を行うことができなかったため、アムステルダムにおける自治体と市民が観光の影響を受ける市民生活に対してどのような意識を持ち、仕組みを作って活動をしているのか主にインターネット媒体を使って調査した。コロナ禍の影響でアムステルダムに観光で訪れる人がほぼいなくなり、歴史的市街地が市民の暮らしの場として見直され、観光と市民の暮らしの関係に対する世論が大きく盛り上がったので、その状況を注視した。2021年度もコロナ禍は継続し、視察の計画は状況の予測が難しく、断念したが、在アムステルダムの吉良が、観光に対して市民の暮らしの存在をアピールする市民団体「we live here」やアムステルダム市文化担当助役のトリア・メリアニ氏に対面インタビューを行った。 2022年8月に行われたアムステルダムの現地視察では、観光客が集中し、その影響が最も大きいニューマーケットエリアに注視し、視察・調査を行った。アムステルダム市の責任者・不動産業者・住民・アムステルダム市の副市長及び観光問題を検討する部署の責任者、この地区にあるアムステルダムで最も古い教会、博物館となっている隠れ教会といった歴史的建造物の運営団体のインタビューなど総合的な調査と視察が行われた。さらにはアムステルダム市当局・この地区の事業者・住民が加わって観光問題を具体的に話し合うプラットフォームにも話を聞いた。 京都・フエ・シェムリアップと比較すると、アムステルダムは自治体、市民ともに観光が市民の暮らしに与える影響に対する意識が強く、さまざまな政策が考えられ、市民運動が活発であるので、本研究をまとめる上での骨格になると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍によって実際の視察がなかなかできなかったが、準備時間が長かったので、アムステルダム市のさまざまな関係者との関係を前もって構築することができたので、2022年には内容の濃い視察と調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
この視察と調査を通して、観光客が集まる歴史的市街地において住民の暮らしが継続していくこと、歴史的市街地における市民の暮らしが、その場所の歴史的文化的独自性と何らかの形で繋がっていることを認識する場・空間・建築を観光で訪れた人々も体験し、参加できることが、歴史的市街地が観光地として持続していく上でも重要であると認識した。アムステルダムで得られた認識をもとに、他の三都市を再分析し、研究の成果としてまとめる。
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