研究課題/領域番号 |
19H02337
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
横田 茂 筑波大学, システム情報系, 准教授 (30545778)
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研究分担者 |
嶋村 耕平 筑波大学, システム情報系, 助教 (90736183)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 宇宙推進 / 電気推進 / 電子源 / 作動モード / カップリング試験 |
研究実績の概要 |
現在,宇宙大量物資輸送用として,燃費が良い電気推進機の大出力化が進められている.それに伴い,その放電に使用される電子源の大電流化も必要である.そこで,研究代表者らは,これまでに100A級の電子源を開発し,その単体試験を実施し,作動安定化指針も明らかにしてきた.一方,電子源と推進機とのカップリング試験では,電子源単体試験でみられた安定な作動を維持できず,安定・不安定な作動モードが頻繁に遷移し,系全体としての作動が不安定になることがわかった. そこで本研究の目的は,電子源と推進機のカップリング時の不安定放電の原因を追求し,この回避策を見出すことである.これまでの研究から,電子源の作動の安定・不安定は,電子源の供給可能電子量と外部からの要求電子量のバランス次第だとわかっており,本研究では,その「外部」にあたる電子源と推進機との間の排気プラズマ領域における諸量を分析し,この不安定性遷移の原因を探り,解決を図る.これにより,電気推進機の大電力化に道筋をつける. 2019年度は,電子源-推進機間のプラズマの様子,主に電子源からの排気プラズマの形状を高速度カメラで観測することで,3つの作動モードの移り変わりの様子を観測し,モードの変化の原因が,電子源の駆動ガスの流量過多により,単体では安定する条件ではあるものの,推進機との間で過剰な電離が起きることで作動モードが変わることが示唆された.また,数値解析コードのベースの構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年は,当初の計画通り,(1)電子源-推進機間のプラズマの様子の観測と,(2)数値解析コードのベースの構築を行った. (1)では,主に電子源からの排気プラズマの形状を高速度カメラで観測をおこない,3つの作動モードの移り変わりの様子を観測をおこなった.この結果から,モードの変化の原因が,電子源の駆動ガスの流量過多により,単体では安定する条件ではあるものの,推進機との間で過剰な電離が起きることで作動モードが変わることが示唆された. (2)では,(1)の推論の裏付けのために粒子法を用いた数値解析コードのベースの構築をおこない,実験と比較検証を行えば,完成となる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,各モードにおける電子源-推進機間の空間の電場分布および推進剤数密度分布の時間履歴の計測を行う.このために電場分布は,プラズマに擾乱を極力与えない手法を選択する必要があるため,レーザー誘起蛍光(LIF)法によって計測する.LIF法によってプラズマ中のイオン速度を計測し,そこから電場を推定する手法をとる. 推進剤中の中性粒子数密度は,バンドパスフィルタを通して高速度撮影を行うことで取得する.この2つの情報から,電子源から放出された電子の流れを把握する. 数値解析は,実験結果と比較し,検証を行う予定である.
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