研究課題
本プロジェクトでは国内で申請者のみが保有する3式のレーザーデトネーション装置の1台に固体表面で散乱された原子状酸素の検出装置を新規に追加し、その角度分散を計測する簡易的なシステムを構築した。電離真空計を散乱原子状酸素の検出器として採用した本システムは質量分解機能は具備しないもののコンパクトなシステムを実現し、既存のチャンバー内に実装することで経費を大幅に削減できた。FY2022年度にはFY2021年度に開発を完了した電離真空計をセンサーとする散乱実験装置を用いて宇宙機用材料やリファレンス材料からの散乱分布の計測を実施した。その結果、宇宙環境に非曝露のポリイミド表面からの分子線散乱では比較的鏡面反射成分が優勢であったが、本研究グループが保有するレーザーデトネーション装置でLEO環境を模擬した原子状酸素を照射することにより鏡面散乱成分が減少し、表面垂直方向への拡散反射成分が増加することが明らかになった。同様の変化は国際宇宙ステーションで実際に宇宙環境に曝露したポリイミドでも観察されたことから、レーザーデトネーション装置による地上実験で軌道上での特性変化を再現できることが示された。さらに、本実験で得られた散乱分布をDSMC計算における散乱モデルとして実装し衛星抵抗を計算したところ、原子状酸素曝露により約12%大気抵抗が増大することが明らかになった。一方、鏡面反射成分が優勢な二次元物質を表面材料とすることで、最大22%の大気抵抗の減少が可能であることがDSMC計算で示され、低大気抵抗衛星設計における衛星表面での分子散乱特性と低抵抗衛星設計に関する基本的設計指針を得ることができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 その他
すべて 学会発表 (10件) (うち国際学会 10件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
http://www.space-environmental-effect.jp/index.html