研究課題/領域番号 |
19H02348
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
葛山 浩 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80435809)
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研究分担者 |
富田 健太郎 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (70452729)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レーザー支持デトネーション / 超高速惑星大気突入 / 衝撃波管 / レーザートムソン散乱 / 先行電子 / 輻射加熱 |
研究実績の概要 |
本研究では、「①超高速突入環境を模擬できるレーザー爆轟式の革新的衝撃波管、②レーザートムソン散乱(LTS)法による先行電子の高精度計測」を提案し、その実用性・性能を評価することを目的としている。本年度(R2年度)は、昨年度(R1年度)末に納入されたTEA-CO2パルスレーザーを用いて、レーザー爆轟波の駆動およびLTS計測を実施する予定であったが、納品直後にパルスレーザーに不具合が発生したため、本年度(R2年度)6月からレーザーはメーカー(海外)に引き取られ、修理及び調整を行っている。コロナ禍の影響もあり、メーカーとのやり取りに非常に時間を要しているが、ようやく返却の目途が見え、現在、次年度(R3年度)7月の再納入を目指してメーカーと調整中である。一方で、爆轟波駆動系、LTS計測系、および同時に実施する自発光・分光計測系の構築はほぼ完了しており、レーザー返却後にすぐに実験ができる状態にある。このように、本年度もレーザー爆轟波の駆動試験は実施できなかったが、爆轟波のLTS計測では非定常計測(一発撮り)が必要となるため、アーク風洞において、LTS計測の一発撮りの試験を行い、計測ノウハウの蓄積を行った。結果は良好であり、密度10^19 m^-3および温度5,000 K程度のアークプラズマ電子を一発撮りすることに成功しており、同様の物理量を持つレーザー爆轟波の先行電子を確実に捕捉できることが示唆された。また、レーザー爆轟波の数値解析において、レーザーカットオフ現象と計算格子依存性を調べ、本実験をシミュレートする際に必要となる格子解像度を明らかにし、次年度の実験を検証するうえで、重要な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レーザー不具合の解消が遅れており、いまだレーザー爆轟波駆動試験が実施できていないため、順調ではないが、本年度において、爆轟波駆動系、レーザートムソン散乱法による先行電子計測系、自発光・発光分光系の構築は終えており、さらにレーザートムソン散乱法の非定常計測のノウハウも蓄積できたため、レーザーが返却され次第(次年度7月を予定)、進捗状況を一気に挽回できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
TEA-CO2レーザーが返却され次第(次年度7月を予定)、爆轟波駆動実験を実施し、LTSによる先行電子計測、自発光による波面位置特定、および衝撃波面背後での発光分光とLTS計測値のクロスチェックを実施する。既に本年度のアークプラズマ計測により、先行電子の物理量範囲において、非定常LTS計測が良好な結果を示すことがわかっており、本実験により先行電子の振る舞いを高精度で補足できる予定である。また、これまで実施した数値解析に詳細な輻射モデルを組み込んで、実験結果を検証し、先行電子の物理機構を解明する。
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