研究実績の概要 |
本年度の研究成果は以下の通りである. (1)多成分流体解析:超臨界圧下における高密度比接触面の1次元移流問題についてEnergy-based(完全保存形)およびPressure-based(圧力発展方程式を用いた準保存形)の支配方程式を用いて実施した.計算条件は移流速度が200 m/s,圧力が10 MPa, 酸素温度が100 K, 水素温度が150 Kの極低温条件であり,接触面の安定性および混合温度分布の評価を行った.状態方程式は2成分流体対応のSRK状態方程式を考慮したものである.高次精度化に関して,内挿変数の依存性について評価を行い,内挿変数に(h, u, p, Yi)を用いることで数値的な圧力振動およびエネルギーの保存誤差が軽減されることがわかった.さらに,混合層の温度分布が理論解析と比較しても適切に計算可能となることが示された.そして,Energy-basedとPressure-basedの支配方程式をハイブリッド化した計算手法を考案し,試計算を実施した.Energy-basedの支配方程式では数値的な圧力振動が強く,解析不能となるような状況でも本ハイブリッド手法により抑制し,かつエネルギーの保存誤差の増加を抑えることが示された.また,混合層内の温度分布はisochoric mixingの理論解析の特徴を示すことがわかった. (2)実験解析:超臨界同軸噴流の密度分布定量計測に向けて,極低温窒素単孔噴流,極低温窒素-高温窒素同軸噴流,極低温窒素-高温ヘリウム同軸噴流を対象にBackground Oriented Schlieren (BOS)法の適用を試み,パラメータ(背景ドットパターン,光源,レンズ配置,シャッタースピード,絞り)の影響検討および最適化を行った.密度勾配の大きい中央ダークコア部は可視化できないものの,混合層部分では密度勾配に対応する変位ベクトルを取得できることを確認した.
|