研究課題/領域番号 |
19H02355
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
久保 信明 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80343169)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 測位衛星 / 欺瞞信号 / マルチパス / ソフトウエア受信機 / 右旋アンテナ / 左旋アンテナ |
研究実績の概要 |
本年度の目標は、測位衛星からの真の信号で、船舶環境での電波特性の挙動を明らかにすることと、前年度実施できなかった、ソフトウエア受信機用のフロントエンドと右旋、左旋のアンテナを準備することであった。前年度の残務であったフロントエンドと所定のアンテナの準備(購入)は滞りなく実施できた。それらフロントエンドとアンテナを用いて、ソフトウエア受信機上での動作確認を実施した。次に船舶環境での電波特性については、昨今の事情により、申請者の大学の所有する船舶での実験を実施することができなかった(実験回数と乗船者数が大幅に制限され、授業優先となったため)。そのため、事前に評価できる事項の確認として、机上での検討と大学のポンド付近にて電波特性の挙動を調査する実験を実施した。机上での検討は、ライブの測位衛星の電波が海面反射によりどの程度入射されるかをシミュレーションで計算した。また大学ポンド付近に河川があるため、実際に河川の真横にアンテナを設置し、河川からの反射波がどのように入射されるか、上記で準備したフロントエンドとソフトウエア受信機で実施した。その結果、アンテナの入射パターンを工夫したとしても、海面からの反射は少なからず混入することを確認することができた。さらに、来年度以降を見越して、欺瞞信号をGNSSシミュレータで生成し、微弱電波の範囲内で混入することによる影響を確認することができた。この欺瞞信号については、送信アンテナが物理的に1つであるため、右旋・左旋偏波ともに、受信電力が1つの場所に固まることを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記に述べた通り、昨今の事情により、測位衛星からの真の信号で、船舶環境での電波特性の挙動を明らかにすることができなかった。2020年度予定されていた船舶実験は、回数が低減され、かつ乗船者の数が大きく制限された。そのため、授業等が優先されることとなり、本研究で実施したかった2-3日にわたる長期での船舶実験を実施することができなかった。船舶環境での実データを取得することができなかったため、その後の解析作業を実施することができなかった。船舶でのデータ収集以外については、予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
上記に述べた通り、進捗の遅れは船舶実験が実施できなかったことによるものであり、本年度中に実施できれば、予定していた研究を進めることができる。本年度はGNSSシミュレータで船舶に対する欺瞞信号を模擬し電波特性を把握することが目標となる。2020年度中に、GNSSシミュレータで欺瞞信号を生成するところを先取りして実施しており、所定の信号が生成できている。ライブの測位衛星とそれら欺瞞信号を同時に取得する実験を行い、ソフトウエア受信機上でどのような電波特性の振る舞いとなるかを詳細に分析する。また、屋外では微弱電波の出力の範囲内でしか実験ができないため、ドイツの研究機関にある設備を利用して、ライブの測位衛星に対して様々な欺瞞信号を発生させる実験を行い、そこで収集したデータを用いて欺瞞信号を判別するアルゴリズムを検討する。
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