研究課題/領域番号 |
19H02358
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
戸田 保幸 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20172166)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 波浪中推進性能 / 省エネルギー―付加物 / ラダーバルブフィン / ステレオPIV計測 / CFD |
研究実績の概要 |
2年目も1年目に続いて、平水中で性能改善が示されている省エネルギー付加物の1つであるラダーバルブフィンの波浪中推進性能を調査した。今年度の結果でも水平フィンが波浪中で悪い効果を出すことはなく、広い波長船長比の領域で効果が小さくなる場合もあるが性能改善効果があることが確認された。波浪中での性能改善効果を波浪中の自航試験により計測して検討するだけではなく、プロペラの上流と下流において波浪中で運動しながら前進するプロペラ作動時の流速分布をSPIV計測により1周期中の4または6つの位相において計測した。その結果、通常の水平フィン付きバルブ舵の性能改善が流速分布からも説明できることを示した。 上記の計測した状態に対してCFD計算も可能になるように改良を続け、計算結果を得ることができた。上記計測結果と比較することにより本研究で開発してきたCFD計算は十分に水槽試験の状況を説明可能であるということが明らかになった。 また上流の船体に取り付けた小さなフィンによる流場改善効果についても計測を行った。この結果左舷のみにに取り付けたフィンによりプロペラ流入速度にプロペラ回転と逆回転の流れを誘起し推進性能を改善することが明らかになった。これは平水中での知見であるが、今後波浪中での性能改善効果も計測していく予定である。また様々な位置に取り付けたフィンの影響もステレオPIV計測により明らかにし、船体フィンの最適な位置を見出してい予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
波浪中において省エネルギー付加物の1つであるラダーバルブフィンを装備した場合の、推進性能改善効果を自航試験及びステレオPIV計測により示すことができた。これは予定より少し進んでいる。またこの複雑な船体、プロペラ、舵、付加物の複雑な干渉流場を重合格子により表現し、複雑な乱流な不枯れを解く手法を開発した。また研究者らが開発してきた体積力モデルを埋め込んで推進性能を比較的短時間で計算可能にしている。これらから計画通りにおおむね順調に進展していると考えられる。また船体に取り付ける小型フィンについても計測を始め平水中での改善効果のメカニズムを明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は最後であるので、水平フィン付ラダーバルブフィンについては、平水中で効果が高かった組み合わせに対して波浪中性能の検討を行う。また船体に小型のフィンを取り付けることにより、プロペラ流入速度を改善して推進性能を増加させる手法についてさらに検討を行う。ここでは右舷側のフィンの働きにも注目し、フィンをつける位置や大きさなどを変更した計測を行い、その計測結果をCFDで説明可能か調査する。小さな渦による効果であるので乱流モデルによっては散逸が強く渦が消えてしまうので、DDESやLES等の手法も検討する予定であるが、最終年なのでどこまでできるかはわからない。
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