研究課題/領域番号 |
19H02365
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
経塚 雄策 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (80177948)
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研究分担者 |
胡 長洪 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (20274532)
坂口 大作 長崎大学, 工学研究科, 教授 (70244035)
末吉 誠 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (80380533) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 潮流発電 / 実海域実験 / 浮沈式 / ロープ係留 / ディフューザ付きタービン |
研究実績の概要 |
令和元年度の研究については、定格発電量5kWの浮沈式潮流発電装置を用いて長崎県五島市の奈留瀬戸において実海域実験を実施できたことが大きな成果であったと思われる。本研究開始前に予備的に行っていた水槽実験の結果により、実海域実験用の潮流発電装置の設計・製作が短時間にできたことがその理由である。篝火崎灯台の敷地の一部に計測小屋が確保できたこと、その沖合約100mまで電力線を敷設できたこと、クレーン船を使うことなくアンカーを設置し潜水作業により浮沈式潮流発電装置の設置・回収法を確立できたことが研究実績として評価できる。ただし、計5回の実海域実験を通じていくつかの問題点に遭遇した。その一つは、当初浮力材として用いたのは発泡スチロールであったが、この圧縮強度について誤解していたことが実海域実験を通じて分かった。その後、浮力材の材料としては、圧縮強度の高いウレタンフォームを用いることにしてこの問題を解決した。二つ目は、片側2点アンカーでのロープ係留を行っているが、11月に行った実海域実験時に、下げ潮用の2本の係留ロープが不均等になっていることが判明したことである。これは、2個あるアンカーの位置が計画通りになっていなかったためであるが、海中ではアンカーを正確な位置に設置する上で問題があるということである。今回は、片側のロープに延長ロープを付け足すことで対応したが、今後の課題である。 本研究の最終的な目標である大潮時の最大発電量1kWの達成および約1か月間の安定した潮流発電については、回を重ねるごとに着実に目標値に近づいている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年間の研究期間の1年目が終わった段階であるが、研究申請時からは大幅に研究が進んでいると言える。これは、本研究開始前に予備的に行っていた水槽実験の結果を使って、実海域実験用の潮流発電装置の設計・製作が短時間にできたこと、篝火崎灯台の敷地の一部に計測小屋が確保できたこと、その沖合約100mまで電力線を敷設できたこと、クレーン船を使うことなくアンカーを設置し潜水作業により浮沈式潮流発電装置の設置・回収法を確立できたことによって実海域実験の準備をスムーズに実施できたためである。ただし、令和元年度中に行った計5回の実海域実験において、目標である大潮時の最大発電量1kWの達成および約1か月間の安定した潮流発電の実施が未達成であることは、課題がまだ残っているので、今後、未解決の課題を解消して目標を達成したい。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度に得られた実海域実験データを詳細に解析して、潮流中の装置の水中姿勢、深度と超音波式多層流速計(ADCP)による流速との関係を明らかにする。現在までのところ、最大流速時に潮流発電装置の深度が大きくなっており、海底直上まで沈下しているため潮流速の小さな流場で作動していると思われる。従って、装置あるいは係留ロープにブイ等を付けて浮力を大きくして海底から少なくとも4メートル以上は離すように改良する。また、令和元年11月の実験時に判明した下げ潮時の2本の係留ロープの張力が不均等だった問題解決のために、片側2点係留方式を止めて片側1点係留にする改善案を模索する。つまり、片側2点係留方式では常にアンカー位置が問題となるが、海中では計画通りの施工が出来ない場合が多いと思われるのでこれを解消して、常に潮流に正対することが可能な係留方法を回流水槽における模型実験等を通じて模索する。
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