研究課題/領域番号 |
19H02368
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
山本 譲司 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海洋開発系深海技術研究グループ, グループ長 (00586703)
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研究分担者 |
中島 康晴 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (30344237)
山本 マルシオ 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10608631)
高野 慧 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (90636820)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メタンハイドレート / 管内閉塞 / 低温物質 / 資源開発 |
研究実績の概要 |
本研究では、メタンハイドレート等の海底資源を移送する際の移送管内における氷結条件を明らかにするため、常圧環境下及び高圧環境下において模型試験を実施する。 本年度は、常圧環境化における移送管内外の流体の速度、温度、塩分濃度、及び伝熱特性の条件の違いによる内部流阻害を圧力変化及び、管内観測にて明らかにすることを目的としたループ試験装置の製作を行った。 製作したループ試験装置は、管外温度を表層型メタンハイドレートが発見されている日本海の表層から水深1,000m程度を再現することが可能な構造とした。具体的には、移送管外周の温度を調整できるように2重管とし、温度調整にはチラーユニットを使用した。また、移送管には、素材の違いによる比較を行うため、熱伝導の異なるステンレス鋼材と銅合金の2種類を選定した。試験流体は、清水及び人工海水を使用し、メタンハイドレートの代替として、炭酸氷(模擬氷)を使用した。ループ試験装置は、透明のアクリルを使用した3ヶ所の観測ユニットと模擬氷や砂粒子を投入するユニットを設けた。 製作したループ試験装置を用い、温度調整、計測機器の動作確認及び模擬氷の投入試験を実施した。その結果、計測機器の動作確認及び模擬氷の投入試験には不具合が生じなかったものの、チラーユニットにより低温調整をすることが困難である現象が生じた。使用したチラーユニットのスペック上は-20度以下まで冷却可能であったが、実際は外気温や冷却容量により5度程度までが限界であり、試験で実施したい温度には至らないことが判明した。対策として、より高性能で且つ大容量のチラーユニットへの変更や試験室内温度を低温で調整可能な低温室による実施に変更するため、対応可能な設備の検討を行った。検討した結果、-20度まで冷却可能な低温室を次年度使用可能となったため、当該施設を用い、研究計画に従いデータ取得を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響により、実験装置の準備が遅れたものの、予備試験(動作確認試験)までは計画通り実施した。しかし、動作確認試験による試験装置の課題については、改善するまでには至っておらず、次年度(令和2年度)の本試験前に対策を施すため、やや遅れぎみである。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度以降は、昨年度製作した常圧環境化におけるループ試験装置を用い、移送管内外の流体の速度、温度、塩分濃度、及び伝熱特性等の条件の違いによる内部流阻害を圧力変化及び、管内観測にて明らかにする。また、管内閉塞の条件として、海底土砂とハイドレートとの親和性による 影響についても、模擬粒子を用いた検討を実施する。 昨年度、製作したループ試験装置の動作確認を行ったところ、移送管内の温度をコントロールするために用いたチラーユニットが想定を下回り、試験で実施したい温度には至らないことが判明した。そこで、令和2年度は、より高性能で且つ大容量のチラーユニットの使用や低温室による実施に変更する予定である。 また、常圧下試験後に、研究計画に従い、高圧環境下試験における試験装置を製作し、管内閉塞に係る圧力影響における試験を実施する予定である。
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