研究課題/領域番号 |
19H02375
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
貞広 幸雄 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (10240722)
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研究分担者 |
山田 育穂 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (00594756)
奥貫 圭一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (90272369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 点分布 / 空間パターン / 空間的連続密度変動 |
研究実績の概要 |
本年度はまず,昨年度の研究成果を踏まえ,空間的自己相関係数及び空間スキャン統計量の理論的改良を行った.前者に関しては,分析結果が距離行列の定義に大きく依存することから,適切な距離行列の定義手法を検討した.その結果,分析対象領域の大きさに応じて空間次元で基準化した距離行列を用いることで,空間的自己相関係数をより広く適用可能な指標とすることができた. 次に,これらの統計量を空間的連続密度変動に適用する手法について検討を行った.空間的連続密度変動とは,点密度が空間上で連続的に変化する点パターンであり,単核都市の人口分布や商業施設分布などによく見られる.このようなパターンを記述・分析するために,空間スキャン統計量の空間的変動の方向を考慮した新たな統計的手法を開発した.この手法は,複雑な空間的連続密度変動についても,計算量は大きくなるものの適用可能であり,汎用性が高いという特徴がある. 開発した手法は,まず,渋谷区の商業施設分布に適用した.当該地域は複数の商業核を有しており,手法の有効性の検証に適していると判断した.適用の結果,一部の地域については空間的変動を十分に可視化することができなかったが,広域的には,可視化及び定量化は適切に行われていると判断した. さらに,スマートフォンの移動データから抽出した,渋谷地域の商圏の時間的変動についても,同様の手法を適用した.商業施設分布とは空間スケールが大きく異なり,パターンもさらに複雑であるため,分析結果は必ずしも想定していたものとはならなかった.今後さらなる手法の改良が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的な面の再考や,実証分析の結果がやや想定外であったなど,いくつかの問題は生じているが,全体としては順調に進行していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
理論面をさらに補強しつつ,並行してして実証分析実施を行い,研究の遅延を補いたい.
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