研究課題/領域番号 |
19H02391
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
角 保志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (30357305)
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研究分担者 |
金 奉根 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10415672)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機能安全 / 非接触安全センサ / 低視程環境 / ラボラトリテスト / 評価指標 / 機械学習 / 国際標準化 |
研究実績の概要 |
本研究は屋外環境における非接触安全センサの性能評価手法の確立を目的とする。研究2年目である2020年度は、以下を実施した。模擬雪片による降雪の物理特性の再現と実証については、実験室および工作室での長時間にわたる作業が必要であり、コロナ禍における出勤自粛・テレワーク推奨の状況では実施困難と判断し、来年度以降に延期することとした。代わって、最終年度に実施予定であった、悪天候を原因とする視程低下に共通に適用できるセンサ評価指標の開発を前倒しして実施し、さらに、本研究課題のさらなる展開のため、センサ評価のためのディープラーニング技術の応用についての研究開発を行った。 1. 低視程環境における新しいセンサ評価指標としてMOT (Minimum Object-detectable Transmittance) を提案した。MOTに基づくセンサ評価のための試験装置を改良し、従来指標として使われてきたMOR (Meteorological Optical Range) よりも有効であることを実証した。成果を国内学会で口頭発表し、論文を国際誌に投稿した。 2. MOTに基づく評価技術を実証するため、降雨装置を改良し、粒径0.5ミリ以下の霧雨を再現できるようにした。 3. 霧による視程の低下を学習するMLP、CNNを活用したディープラーニング技術の開発研究を実施した。実験で収集された霧環境における画像データを視程によって区分・学習し、霧による視程の低下をロバストに計測する視程計測技術を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本事業最終年度での実施を予定していた、センサ評価指標の確立について研究リソースを集中し、きわめて大きい進展があった。ディープラーニング技術の適用についても順調に進展している。模擬雪片による降雪の物性再現は遅延しているが、全体としては「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 降雪の物理特性が、主要な非接触安全センサに及ぼす影響を明らかにし、試験のための要件を特定する。降雪だけでなく、降雨、霧環境等、低視程空間一般に適用できる、空間透過率に基づくセンサ性能評価指標を開発した。そこで、開発した指標に基づき、降雨、霧、降雪空間におけるセンサ性能評価のための要件を特定する。 2. 新しい模擬雪片で多様な降雪を再現し、センサ性能試験を実現するとともに、降雨、霧に関してもセンサ試験手法を確立する。 3. 降雪量によらず常に均一な降雪分布を保つ技術を確立し、試験装置を完成させる。本年度は、2.で確立した試験手法に適用できるように試験装置を改良する。 4. 機械学習を利用したセンサ性能評価及び評価装置の開発に関する研究を実施する。
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