研究課題
当該研究の主要目的は、[1] 海底地すべりの発生メカニズムを堆積学的に理解すること、[2] 海底地すべりの運動学的なモデルを構築すること、の2点である。[a] 三次元地震探査データを用いた静内海底地すべり堆積体の解析:北海道南部日高トラフで収録された既存三次元地震探査データを用いて、静内海底地すべり堆積体の分布形態、表面形状、内部変形構造の特徴を三次元的に詳細に解析し、その結果に基づいて海底地すべりモデルを提唱した(荒戸, 2022など)。また、滑動体の具体的な岩相・堆積相、ならびにそれらの物理化学的性状を分析するため、SCOREプロジェクト(地球深部探査船「ちきゅう」を用いた地球表層科学掘削で、JAMSTECとJ-DESCにより推進される科学プログラム)に海底表層コア掘削採取計画を提案した結果、Proposal #014として採択された。[b] 陸上に露出する地質時代の海底地すべり堆積体の構造解析および試料分析:富山県上市町の稲村水中地すべり堆積物について今年度も3回の調査を実施し、グラインダーを用いた露頭面研磨による微細な堆積構造および変形構造の把握を行なった。また、ドローンによる概査的撮影結果を踏まえ、露頭全体の系統的かつ詳細なドローン撮影を実施し、画像統合ソフトウェア(Pix4D mapperなど)を用いて露頭全体の三次元画像モデルを構築した。このモデルを用いて、滑動体を構成する8層の鍵層砂岩を露頭内全範囲に渡って単層追跡し、横臥褶曲、ランプ背斜、すべり面などの変形構造を特定した。現在、海域における地震探査スケールでの活動様式と陸上露頭における詳細な変形様式を統合し、海底地すべりの一般的モデルの構築を進めている最終段階である。今後、静内海底地すべり堆積体の実堆積物試料が得られれば、その分析結果を加えて、地すべりモデルのアップグレードを行う。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Geological Society of Japan
巻: 130 ページ: 0-0
10.5575/geosoc.2024.0009
地質学雑誌
巻: 130 ページ: i - ii
10.5575/geosoci.2024.0009
富山と自然
巻: 46 ページ: 1-8