研究課題/領域番号 |
19H02403
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
間瀬 肇 京都大学, 防災研究所, 特任教授 (30127138)
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研究分担者 |
由比 政年 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (20262553)
川崎 浩司 名城大学, 理工学部, 特任教授 (20304024)
平石 哲也 京都大学, 防災研究所, 教授 (20371750)
金 洙列 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (60508696)
平山 克也 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (60371754)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 打上げ・越波・越流 / 越波・越流重畳過程 / 越波・越流遷移過程 / 高潮浸水シミュレーション / 消波工護岸への越波 / 地球温暖化 / 台風の巨大化 |
研究実績の概要 |
最大規模の台風に対応して各海岸で潮位偏差が最大となるような最悪クラスの高波・高潮シミュレーションの精度向上を実現するためにはいくつかの課題が存在する.本研究では,そのうちの越波・越流遷移過程のモデリングに焦点をあてて,高波・高潮同時生起時に見られる一連の浸水過程,すなわち,越波による初期の浸水から,越波・越流遷移過程で発生する重畳的浸水への変化,さらには最終的な越流による浸水に至るまでの浸水形態の推移に対応して,浸水流量をシームレスに算定可能な越波・越流遷移モデルを構築した.その際,フルスケールの越波・越流遷移実験を基にして,高波を伴って海水が流入する遷移状態の実験結果の特徴を定性的・定量的に再現できるようにした.次に,典型的な条件における本モデルの計算を行うことにより,越波・越流遷移過程における浸水流量の時系列変化の特徴を例示する.また,現地にも適用できるように開発した高波・高潮結合シミュレーションモデルに越波・越流遷移モデルを実装し,単純な海底地形と台風条件のもとで,一連の浸水過程を考慮した浸水シミュレーションを実施し,波浪の影響や遷移過程を考慮することの重要性と構築されたモデルの有用性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・今年度も目標以上の研究成果を発表することができた. ・越波・越流遷移過程のモデル化が完成した. ・理想地形に対して高潮浸水シミュレーションモデルを作ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
越波・越流流量算定に関しては,1)越波流量に及ぼす透過性の影響,2)2山スペクトル波の越波流量算定,3)砕波帯における周期変化の影響のIFORMへの取り込み,4)沿い波の発達・越波実験に対する再現計算(ブシネスクモデル),5)越波による浸水域の水面変動に関する検討を行う.また,1)越流量低減化に向けた各種工法の効果(フレア、ブロック、二重パラ),2)背後地の条件を考慮した許容越波流量のとりまとめ(日本・海外)を行う.数値的な面からは,全面消波ブロック被覆と2層ブロック被覆の越波流量の差異を明らかにする. 最終的には,本研究の目的の越波量・越流量の重畳過程をモデル化したSuWAT-IFORMを用いて実地形の高潮浸水シミュレーションができるようにする.
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