研究課題/領域番号 |
19H02408
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三浦 弘之 広島大学, 工学研究科, 准教授 (30418678)
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研究分担者 |
横矢 直人 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, ユニットリーダー (40710728)
Adriano Bruno 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 特別研究員 (40831889)
松岡 昌志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (80242311)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 土砂災害 / リモートセンシング / 数値標高モデル / シミュレーション / 土砂崩壊量 / 土砂災害警戒区域 |
研究実績の概要 |
当該年度は,2018年7月に発生した西日本豪雨における広島県での土砂災害を対象として,衛星画像による分析と数値標高モデルによる土石流氾濫シミュレーションを組み合わせて,簡便・短時間に土石流による崩壊土砂量を推定する方法を検討した。具体的には,災害前後に観測された航空レーザ測量データと土砂氾濫域のデータを用いて,対象地域における土石流の崩壊面積と崩壊土砂量の関係を検討し,土石流による崩壊深さをモデル化した。また,衛星画像と数値標高モデルによる解析から,災害直後の土石流による崩壊箇所を検出する方法を検討した。さらに,崩壊面積と崩壊深さの情報を組み合わせることで,崩壊土砂量を推定する方法を提案した。本手法によって推定された土砂量は,航空レーザ測量で観測される土砂量とよく一致しており,本手法が有効であることが確認された。 土砂災害を軽減する対策のひとつに,土砂災害警戒区域の指定・公表がある。西日本豪雨災害では,警戒区域外へ多くの土砂が流出した例がみられたことから,土砂氾濫域と警戒区域の関係について分析した。その結果,土石流氾濫が河川と交差した場合,土砂の堆積によって河道閉塞が発生し,より多くの土砂が下流側に氾濫するために,警戒区域外へ氾濫するケースがみられることがわかった。また,その河道閉塞による広範囲の氾濫域についても,数値標高モデルによる土石流氾濫シミュレーションによって再現可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
西日本豪雨が発生した2018年度より本研究課題の準備を進めてきたため,おおむね順調に研究を進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は災害時における建物被害を簡便・短時間に把握する技術を構築するために,災害直後に撮影された航空写真データから個々の建物被害を判別する手法を検討する。特に本検討では,深層学習を用いた検討を行うことで,従来の画像処理手法よりも高精度かつ頑健な被害は握手法の構築を目指す。 土石流発生の位置や規模をリアルタイムで把握する方法を検討するために,土石流発生箇所の近傍で観測された地盤震動データの分析を行う。観測された震動データの振幅・周波数特性と土石流の規模や距離との関係を分析することで,地盤震動観測による土石流の監視技術の適用性および適用範囲を明らかにする。
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