研究課題/領域番号 |
19H02410
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
野田 稔 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (30283972)
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研究分担者 |
長尾 文明 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (40172506)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 竜巻被害 / 漏斗雲 / デブリクラウド / 3D-PIV / ディープラーニング |
研究実績の概要 |
本課題は,漏斗雲や飛散物で視認できる竜巻の画像から,その竜巻の強さや規模,移動速度を評価できる技術を確立することを目指し,種々の特性因子で構成される流れ場情報を蓄積しようとするものである。一方で,竜巻状流れ場から漏斗雲やデブリクラウドによる可視化画像を生成し,画像の特徴因子の抽出を行い,竜巻風速場の特性因子と竜巻の視認情報とを結びつけるデータベースを構築し,実際の竜巻画像に対応する流れ場を推定する技術の確立を目指すものである。 本年度は,①3P-PIVによる立体的な3成分風速分布を計測し,静止・移動竜巻状旋回上昇流の風速分布データを蓄積すること,②数値流体解析による移動竜巻状旋回上昇流の三次元流速分布の系統的蓄積実大規模の計算空間を用いた移動状態の竜巻状流れ場をLESを用いた数値流体解析によって生成し,実験で得られる流れ場の3次元流速分布との比較による精度検証を行うと同時に実験では得られない圧力場の情報を系統的に蓄積すること, ③得られた流速分布に基づく竜巻の工学モデルの構築,④竜巻の可視化画像を生成し,スワール比,最大風速,コア半径,移動速度,飛散パラメータなどによって分類し,ディープラーニング用の竜巻画像の教師データを作成することをめざした。 しかし,新型コロナウィルス感染拡大に伴い,大学における教育業務および入試業務が大幅に増加したことに加え,研究の中心となる移動床付マルチファン・マルチベーン式竜巻シミュレータにおいて,移動床駆動部分の破損,マルチファン駆動系の故障,マルチベーン駆動系の故障などが度重なり,新型コロナウィルスの影響もあって修理が速やかに行う事が出来ず,装置が破損するまでに得られた流れ場の情報を分析するにとどまったため,系統的に竜巻状旋回上昇流の流れ場の構造をモデル化するには至らなかった。一方で,画像認識のディープラーニング技術を導入し,応用法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の研究計画では,3D-PIVによる移動竜巻状旋回上昇流の三次元流速分布の系統的蓄積を進めることを予定していたが,その実験に用いる移動床付マルチファン・マルチベーン式竜巻シミュレータにおいて,移動床の駆動系の破損,マルチファンおよびマルチベーン駆動系の故障が発生し,修理が必要となってしまった。しかし,新型コロナウィルス感染拡大により,修理が速やかに行う事が出来ず,また,一部の修理に利用することを考えた中古部品の入手や,修理業者の手配も,新型コロナウィルスの感染拡大に伴ってできなくなり,予算を繰り越して2021年度に実施することとした。結果として,目指す竜巻状旋回上昇流の工学モデルの構築を行うには十分なデータが揃わなかったため,計画通りには研究を進めることができなかった。 2021年度に入り,繰り越した予算により竜巻シミュレータの修理を進めたが,新型コロナウィルスの感染拡大の影響で予定していた中古部品が結局入手不可能になったこともあり,対応方法を変更して,竜巻シミュレータの修理を完了させたものの,修理に時間がかかってしまったため,流れ場計測実験の進行が遅れ,十分なデータを得ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染拡大状況を見据えながら,故障した移動床付マルチファン・マルチベーン式トルネードシミュレータをできるだけ早急に修理して稼働できるようにし,3D-PIVによる流れ場の計測を実施する。令和3年度前半は,装置の修理を急ぐ一方で,ディープラーニングによる画像解析技術の導入に取り組み,過去に生成したロート雲およびデブリクラウド画像を対象としたディープラーニングによる特徴抽出法の検討を進める。また,令和3年度後半には,実験によって得られた竜巻状旋回上昇流の平均流れ場の情報から,地表面より射出した飛散物の飛行軌跡を求める解析を行い,飛散物の質量および流れ場の最大接線風速,最大接線風速半径により,デブリクラウドの形状がどのように変化するのかについて検討を行う。さらに,デブリクラウドの形状の特徴因子と竜巻状旋回上昇流の流れの特徴因子との関係性について検討を進めていく。
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