研究課題
本研究は、外力によって生じる応力誘起マルテンサイト変態の結晶学的理論の再構築を目標にしたものである。形状記憶合金が示す超弾性機能において、応力誘起マルテンサイト変態とその逆変態は機能の中核をなすものである。形状記憶合金の発見以来、これまでに数多くの研究が行われてきた。特に本研究で着目している点は、従来の現象論で説明が出来ない結晶学的特徴が多くの形状記憶合金で実際に観察されていることである。研究代表者はこの現象論との差異の起源を解明し、応力誘起マルテンサイト変態についての基礎的知見を改めて得ることを目指している。本年度までの研究は順調に進展しており、応力誘起マルテンサイト変態の際の母相及びマルテンサイト相の格子定数が従来の想定から大きく異なること、またマルテンサイト相の格子定数が応力誘起変態中に変化していることが従来の現象論と実験結果が異なる原因であることがわかっている。本年度はこの主張を更に実験的に裏付けるための放射光In-situ測定(フランス、SOLEIL)を現地の共同研究者とともに行った。これは、単結晶試料に引張応力を加え、その応力下において、マルテンサイト相の単一バリアントを応力誘起させるときの母相とマルテンサイト相の格子定数を精密測定するものである。加えて、本年度は他の超弾性合金における応力誘起マルテンサイト変態についても研究の対象に加え、より一般的な応力誘起マルテンサイト理論の確立を試みた。
2: おおむね順調に進展している
本年度はフランスの共同研究者とともに放射光実験施設(フランス、SOLEIL)にて引張変形中のIn-situ格子定数測定を行った。実験はおおむね成功し、現在詳細な解析を行っている段階であり、当初の想定通りの成果が得られつつある。加えて、チタン系合金以外の超弾性合金における応力誘起マルテンサイト変態に関する研究も順調に進展している。
最終年度である2022年度はこれまでに得た実験成果から、応力誘起マルテンサイト変態に関する理論の一般化を図るとともに、超弾性機能の劣化機構との関係を明確にする予定である。加えて、これまでに得られた知見の発表も行い、本研究の総括とする。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 12件) 学会発表 (5件)
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