研究実績の概要 |
今年度は高圧FZを用いて作製したFe量1.3(Ga0.7)組成の単結晶について、同条件にてScドープGaFeO3の作製を行った。Sc量は0-0.3(Sc量を増加させるにつれてGa量を減少させた場合)の範囲で結晶育成を行い、単相を得ることに成功した。Sc量の増加に従って、a,b,c軸長は直線的に増加することが分かった。これはScのイオン半径がGaのイオン半径よりも大きいことに起因する。さらに、ベガード側に従って変化することから、Scのドープによるサイト占有性についても系統的に変化していると推察することができる。 Scの有無について磁性特性を調査した結果、Sc=0および0.15の両者においてa軸に磁化容易軸が存在し、Scドープによる変化は観察されなかった。M-Hヒステリシス曲線の結果より、5Kにおける残留磁化および保持力は、Sc=0の場合は0.53uB/f.u.および0.4kOe、Sc=0.15の場合は0.50uB/f.u.および2.6kOeであった。Scドープにより残留磁化の値はほとんど変わらないが、保持力は約6.5倍となった。これはScイオンがTetraherton-Gaサイトにダイレクトに占有したのではなく、Octahedral-Feサイトに系統的に置換することが原因であると考えられる。この挙動をさらに深く理解するために現在放射光XMCD等によってサイトと磁化について調査を行っている。
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