研究課題
SnSが通常p型を示す起源となる欠陥、S過剰雰囲気でのSn欠損やSn過剰雰囲気でのS2-サイトへのSn4-の生成を抑制することがn型SnS実現の大きな課題であった。以下アニオンであるCl-やBr-の置換ドーピングによりn型化は実現したが、前記欠陥の抑制手法が確立されたとは言えない。この欠陥制御を目指した単結晶育成を試みたところ、原料のハロゲン化スズとSn、Sの比の最適化によりundoped SnS(ハロゲン元素は100 ppm以下)の単結晶を育成した。この単結晶ではSn:S比のわずかな変化によりp/n伝導型の制御ができることを見出し、undoped SnSにおいてn型伝導を実現した。ClドープSnS薄膜のn型化においては、ギャップ内準位の低減が課題として挙がっている。これを評価する手法として光吸収スペクトルを用い、バンドギャップ内領域において光吸収係数が<2x10^4 cm-1であることが1つの目安となっている。高品位薄膜の製膜を目指し昇華法により600℃で製膜した薄膜においてバンドギャップ内領域の光吸収係数が<7x10^3 cm-1が得られ薄膜中の欠陥準位を低減させることに成功した。課題は配向性が失われることである。結晶粒界にClは偏析する傾向があるため、n型化実現のためには粒界を減らすことも課題である。製膜温度を上げるとギャップ内領域の欠陥は低減できるが配向性が失われるトレードオフの状況にある。そこでClドープn型SnS単結晶を石英ガラス基板で挟み加熱することで製膜を試みたところ、400℃の製膜で光吸収係数が<2x10^4 cm-1で高配向膜の作製に成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physical Review Materials
巻: 5 ページ: 125405-1-8
10.1103/PhysRevMaterials.5.125405
https://www.ccn.yamanashi.ac.jp/~hyanagi/index.html