研究課題/領域番号 |
19H02437
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島ノ江 憲剛 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (10274531)
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研究分担者 |
渡邉 賢 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90552480)
末松 昂一 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (90637555)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ガスセンサ / ppt / 超高感度 / レセプター / ダブル / ナノ粒子 / MEMS / 水蒸気 |
研究実績の概要 |
今年度は、pptレベルのガス検知で重要なダブルレセプターのそれぞれについて最適な担持方法および膜構造について検討を行った。 (1)センサ感度を水蒸気下でも維持できるレセプターとしてPd担持SnO2があるが、これまで3nm以下のPdナノ粒子は0.5mol%までしか担持できなかった。そこで、大気中や呼気中においても水蒸気量の変化の影響を全く受けないように、担持量を増加させる方法を検討した。種々の条件を検討したところ、Pdの保護剤としてポリビニルピロリドン(PVP)を用いてPVP-Pd-SnO2が、Pdを微細高分散に担持でき、広い湿度範囲において電気抵抗値及びセンサ感度の低減を抑制可能であることを見出した。 (2)MEMS型半導体ガスセンサにおいて、熱容量の小さいマイクロヒータを利用してセンサを加熱し、ヒータON/OFFを繰り返す間欠加熱駆動(パルス駆動)が適用できるが、パルス駆動を利用すると、ヒータOFF時にセンサ膜内部へと対象ガスを拡散・濃縮できる。さらに、酸素吸脱着特性を持つペロブスカイト型酸化物を第二のレセプターとして、SnO2と複合化することで、継続的にSnO2表面に酸素を供給し、更なる高感度化が可能であることを見出した。センサ作動温度領域で優れた酸素収脱着特性を持つBaFe系ペロブスカイト型酸化物(BLF: Ba0.90La0.10FeO3-δ)を酸素供給用ペロブスカイト型酸化物として選択し、BLFとSnO2の複合化およびセンサ駆動条件の最適化により、1ppm以下のエタノールガスに対して百倍以上の電気抵抗変化を示す世界最高感度が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダブルレセプターは二つの要素から構成されている。一つは、被検ガスを以下にどのような条件下においても安定に検知するレセプターであり、もう一つは被検ガスを部分酸化する、あるいはもう一つのレセプターに吸着酸素を付与するレセプターである。前者については、平均粒子径2.5nmのPdを3mol%まで高分散担持できる方法を見出した。後者については、反応場に酸素供給できるレセプターとそのセンサ駆動方法について確立した。 上記の二つのレセプターをさらに最適化するとともに、第三のレセプター設計であるナノ触媒粒子とPdレセプターの粒子上での複合化を検討することにより、本研究の趣旨である、実用性を有する超高感度ガスセンサに導くことができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の三つの点をまず検討する。 (1)第二のレセプターとして、電気陰性度を考慮した中性酸化物触媒ナノ粒子をSnO2上に分散担持する方法について県tプする。 (2)上記の(1)と昨年度に確立したPdナノ粒子担持SnO2との複合化を検討し、ナノ空間内での特殊反応場を利用した超高選択性ガスセンサの検討を行う。 (3)最終的には、これらに酸素供給機能を付与し、MEMSセンサの駆動方法を検討する。
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