本研究では,我々が発見した,超短パルスレーザーを用いた溶液中での特異な微粒子集積固化現象についてその機構解明と制御指針の獲得に取り組んでいる.同現象は,従来のレーザー直接描画手法では適用が困難な非感光性材料について,レーザー直接描画でマイクロパターンを形成することを可能とし,極めて広い被加工材料選択性と高い応用性を持つ. 本年度は,我々がこれまでに提案してきた微粒子集積固化機構に深く関わると推定される微小バブルの四方向からその場直接観察,および,その周辺対流の可視化を行った.推定モデルに近いバブルが明確に観察され,その形状およびサイズが明らかとなった.その周辺対流は,概ね当初予想に近い挙動であった一方,事前想定しなかった非対称性と傾斜軸を持つことが明らかとなった.推定機構と観察結果を比較検証することで,この傾斜はバブル表面温度勾配から理解し得ることを示した.また,高速度カメラでの流速評価と解析式から,バブル表面の温度差を概算ながら見積もることにも成功した.これらの知見は,微粒子の集積固化現象についての我々の提案機構の妥当性を強く支持していた.このような提案機構と整合する結果を得た一方で,集光部で起こり得る他の現象可能性が浮上した.この現象および対流の非対称性の理解を進めるのため,現在,他波長レーザーを用いた微粒子集積固化現象の評価と,より詳細な集光部の観察および熱流体解析を進めつつある.
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