| 研究課題/領域番号 |
19H02475
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
井上 純哉 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (70312973)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | デジタルホログラフィック顕微鏡 / 変位型変態 / 組織形成 / 局所変形挙動 |
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| 研究実績の概要 |
高機能化や高強度化の鍵として近年盛んに研究されているマルテンサイト変態等の変位型相変態では，形成相やその周辺での変形挙動の解明は組織形成の理解や材料の長期的な信頼性を向上する上では不可欠となっている。また，高強度化と高延性化の両立には，高強度相と延性相の界面や高強度相で生じるひずみの局所化挙動の理解が不可欠となっている。そのため，局所的な変形挙動の解明に向け，AFMやSEM／EBSD，TEMなどを用いた解析が広く用いられている。しかし，計測のリアルタイム性と計測精度の両立には限界があるのが現状である。
そこで本研究では，変態ひずみや塑性変形により生じる表面起伏のナノスケールの変化をデジタルホログラフィック顕微鏡でリアルタイムに大量に取得することで，高速度・高精度・高解像度に局所変形を再構築する革新的なシステムの構築を目的とする。
2019年度においては，現有DHMシステムの高精度化を目指したハードウェアの抜本的な改良と，マルテンサイト・ベイナイト組織の局所変形挙動のDHMそのば観察の実施可能性の調査を行った。
DHMシステムの高精度化においては，波長405nmの高輝度近紫外レーザーを導入すると同時に，レーザーの短波長化への対応と高輝度化に伴う非線形光学の影響を軽減するための光学系の大幅な改良を行った。その結果，大幅な面ない解像度の改善と，高さ計測におけるノイズの大幅な軽減が実現した。
せん断型変態組織の局所変形挙動のその場計測に関しては，低炭素鋼を用いて焼戻しマルテンサイト組織，上部・下部ベイナイト組織を作成し，現有のDHMシステムを用いてその場変形解析を行った。その結果，3つの異なる組織でせん断帯の形成過程が異なる可能性を示唆するデータが得られ，2020年度以降の詳細な解析への重要な礎となる結果が得られた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DHMの改良や局所変形挙動解析に関しては概ね研究計画通りに進行している。また一方で，2020年度以降に実施予定であった3次元形状再生ソフトウェアの構築も開始することができ，CNNを用いた高速化だけでなく，Wavelet変換を用いた高精度化の検討も行うことができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
以上の結果を踏まえ，2020年度以降においては，DHMシステムの更なる高精度化を実現することを目的に，3次元形状再生ソフトウエアの構築と，せん断型変態における塑性緩和のその場観測の実現を目指す。具体的な内容は以下の通りである：
1. 高精度DHM-3D再生プログラムの開発
現有の独自開発形状再構築システムは，ワンショット画像に対しバンドパスフィルタとフレネル変換を適用する従来手法が用いられている。これをWavelet変換を用いた前処理とクライオ電子顕微鏡等で用いられるベイズ推定を用いた手法に変更すうる。また同時に，CNNを用いた高速化も検討する。
2. せん断型変態の塑性緩和のその場観察
低炭素鋼を現有のミラー型小型加熱炉中で様々な冷却速度で冷却し，その過程で発生するせん断型変態組織周辺のDHM像を多数取得する。その課程で赤外ランプによるDHM像に生じるノイズやその消去方法を検討する。
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