本研究の目的は,ダイレス引抜きで見られる特徴的な「非一様場」における塑性変形現象に着目し,非一様な温度場・ひずみ速度場・ひずみ場によって誘発される新たな塑性加工法+双晶誘起の結晶組織制御法の開発を行うものである.今年度は,高速度ダイレス引抜き装置に得られた知見をフィードバックし,双晶誘起の組織制御法による微細結晶粒を有するMg合金極細管の効率的な創製を行った.その結果,最終的に医療用ステントへの応用を想定した外径2mm,肉厚0.2mmの極細薄肉管の創製に成功した.また創製した管材に対し,引張試験を行い機械的特性を評価した.温度,引抜き速度が引張強さ,伸びに大きく影響することがわかり,引張強さ240MPa,伸び13.2%と強度と延性の両方にバランスが取れた管材を創製した.また創製したMg合金極細管を分解特性評価を行い,母管の70mm/yの分解速度に比べて30mm/yまで分解速度を減らすことができ,耐分解特性を向上させることができた.以上の結果をまとめることによりダイレス引抜きにおけるMg合金の高性能化の指針を明らかにすることができた.今年度は最終年度として,これまでに得られた結果を総括することで,研究全体のまとめを行った.
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