本研究は、有機王水を用いる黄銅鉱(CuFeS2)からの銅精錬プロセスを開発することを目的とした。有機王水を用いた黄銅鉱の浸出では、不働態が形成されることなく黄銅鉱が溶解することを示し、最適操作条件を見出した。しかも、黄銅鉱(銅精鉱)に随伴される元素のうちAuなどの貴金属は溶解するが、ペナルティ元素であるAsや経済価値の低いパイライト(FeS2)は残渣として残るという非常に興味深い知見を得ることができた。 さらに、Ni・Co混合硫化物への有機王水の適用を行い、既存の水溶液系での浸出速度よりも大幅に増大できることが分かり、浸出液からのNiは溶媒抽出によりCuとの分離が可能であることを示した。
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