本年度は,昨年度開発に成功したε-ケギン型アルミニウムポリオキソカチオンをバインダーとしたα-ケギン型二核白金種配位ポリオキソタングステート担持酸化チタンの加熱処理による二核白金サイトの構造変化について検討した。その結果,空気中,700℃以上の高温加熱処理条件下でも白金粒子の粒径が数ナノオーダーを維持していることを確認した。出発物質として用いたα-ケギン型二核白金種配位ポリオキソタングステートセシウム塩を加熱処理した場合も白金粒子の凝集抑制効果が認められているが,カウンターカチオンにアルミニウムポリオキソカチオンを用いた場合でも凝集抑制効果が発現することを確認した。 得られた焼成体を光触媒として用い,トリエタノールアミン水溶液中,エオシンYおよびα-ケギン型アルミニウム一置換ポリオキソメタレートを共存させた系に可視光を照射したところ,6時間後のターンオーバー数 (TON = 2[水素発生量(mol)]/[白金含有量(mol)])は764を示し,加熱処理前のサンプルより高い値を示した。また,光触媒反応後の固体をろ紙で回収・洗浄後,再度同じ系へ導入して光触媒活性評価試験を実施したところ,1回目の活性と同程度の値を示したことから本焼成体は再利用が可能であることを確認した。 一方,前年度開発に成功した白金-パラジウムバイメタルサイトを有するα-ケギン型ポリオキソタングステートの光触媒活性評価試験を実施し,パラジウム種または白金種のみがα-ケギン型ポリオキソタングステートに配位した二核型化合物に比べて高活性を示すことを確認した。本結果より,欠損構造へのPd-Ptバイメタルサイトの構築は光触媒活性の向上に有効であることが示唆された。
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