研究課題/領域番号 |
19H02508
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
草壁 克己 崇城大学, 工学部, 教授 (30153274)
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研究分担者 |
大河平 紀司 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (60629210)
櫻木 美菜 (水谷美菜) 崇城大学, 工学部, 准教授 (90646829)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多孔質材料 / フラーレン / ナノ孔 / パラジウムナノクラスター / ナノリアクター / ポルフィリン / 触媒 |
研究実績の概要 |
シクロデキストリン系金属有機構造体は多孔質ナノ孔結晶体であり、結晶が均一でメソ孔などの欠陥構造が少ない。したがって、貴金属を導入した場合にはシングルナノサイズの金属ナノクラスター触媒となり、その活性が飛躍的に増大することが期待できる。貴金属触媒としてパラジウムをCD-MOF内に導入することに成功した。作製したPd/CD-MOF触媒を用いて、スズキカップリング反応を行ったところ、Pd量を市販のPd担持カーボン触媒(Pd/C)の1/10にしても、Pd/C触媒に匹敵する高い反応率と収率となることがわかった。しかしながら、Pd/C触媒に比べて反応開始時の反応速度が遅いことから、Pd/CD-MOF結晶内の生成物であるジフェニルの拡散速度が反応速度に影響することがわかった。次いで、フラーレンC60をCD-MOFに導入したC60/CD-MOFを可視光応答型光触媒として用い、フェニルボロン酸のヒドロキシル化反応を行った。C60/CD-MOFは反応物であるフェニルボロン酸の結晶粒内拡散速度の影響は受けないが、反応に関与するアミンの反応性と分子サイズに大きく影響することを明らかにした。この結果より、凝集性の強いC60をCD-MOF内で孤立化した場合でも、可視光を照射することで一重項酸素が発生し、光触媒として機能することを明らかにした。最後にコバルト金属を導入した水溶性ポルフィリン(TCPP)の合成を行い、このCo-TCPPをCD-MOF内に導入することに成功した。このCo-TCPP/CD-MOFを用いたクレゾールの酸化的カップリング反応を行い、均相系に近い反応性を示すことを明らかにした。本年度はCD-MOFを用いて金属系複合触媒、有機金属系複合触媒および非金属系光触媒の触媒反応性を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種金属を担持したCD-MOF触媒の調製については、Pd、Auなどの貴金属触媒は順調であったが、ニッケルを導入したCD-MOF触媒については導入量が十分でない。一方、フラーレンC60をCD-MOFに担持したC60/CD-MOF光触媒については順調に研究が進んだ。また、コバルト金属を導入した水溶性ポルフィリンの合成と、合成したCo-TCPP/CD-MOF触媒の研究成果は今後の有機分子触媒担持CD-MOF触媒の調製に進展をもたらすものであり、成果が上がったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
触媒活性のある分子種をCD-MOF内に導入して、それを触媒とすることが目的であるが、現在のところ疎水性分子種をCD-MOF内に導入する方法が確立していない。そこで、今後は疎水性触媒分子をCD-MOF内に導入するために共溶媒を用いた蒸気拡散法による結晶生成を進める方針である。
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