今後の研究の推進方策 |
ペロブスカイト型Sr-Fe系およびSr-Ti系複合酸化物(SrFeO3-d・Sr3Fe2O7-d・SrTiO3・Sr3Ti2O7)への第三成分(Ba, La, Mn, Ni, Co)添加を検討する.BaおよびLa添加は格子体積拡大による格子酸素の拡散速度向上を期待しており,Mn・Ni・Co添加はFeおよびTiサイトへのredox能の付与を期待している.特に,Sr-Fe系複合酸化物への異種遷移金属添加では,Feサイトの電子状態制御を試み,高い格子酸素移動能の発現に重要な電子的因子を明確にする.さらに,これまでの予備的な検討により,還元剤の種類が格子酸素放出に対して大きな影響を及ぼしていることを見出している.そこで,還元剤(H2, NO, CO)が格子酸素脱離に及ぼす影響について,in situ XAFS等を用いて明確にする予定である. Sr-Ti系複合酸化物は高い耐熱性と耐水性を兼ね備えているが,現状では酸素貯蔵能は乏しい.そのため,Tiサイトへの遷移金属添加によりredox能を付与させ,自動車触媒として有効な酸素貯蔵能の発現を目指す.また,Sr-Ti系複合酸化物への遷移金属添加により,担体の電子状態が担持金属の構造に与える影響も明らかにする.また,Sr-Ti系複合酸化物担持Pd触媒では,複合酸化物とPd種の間に特異な界面構造が形成されていることが考えられる.そのため,その界面構造をSrサイトへの異種元素置換(BaやLa)により微調整し,さらに高い活性の発現を目指す.自動車排ガス浄化反応に対しては,in situ FT-IR等の「その場」分光解析法を駆使して,排ガス浄化反応に対する反応機構への担体効果を明確にする予定である.
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