ゼブラフィッシュを用いてhLGR5タンパク質の発現を行った。すなわち、タンデムリピート型プラスミドにhLGR5遺伝子を連結し、受精卵にマイクロインジェクション後、一定時間培養した後、初期胚から界面活性剤の存在下で超遠心によって膜画分タンパク質を調製した。 銀染色で発現タンパク質を確認したところ、hLGR5が検出された。今後は得られたhLGR5を用いて詳細な構造解析を行うとともに、抗原としてキンギョに投与する予定である。 一方、キンギョ(ワキン)に大腸菌を曝露して、誘導される免疫グロブリン(Ig)遺伝子の発現変動を定量PCRで確認した。コイ科魚類で見つかっているIgZ相同遺伝子について、キンギョゲノム上に存在するかについて確認したところ、コイIgZ1およびIgZ2に相同な遺伝子がキンギョ28番染色体上に存在することが判明した。さらに、コイIgZ3についても上述のゲノム上とは異なる位置に存在することは明らかとなった。次に、大腸菌曝露試験による各種Ig遺伝子の発現変動を検出したところ、すべてのサンプルからIgMが検出できた。一方、ゲノム染色体上に確認された3種類のIgZ遺伝子についても発現が確認できたが、大腸菌曝露ではおもにIgMの優位な発現上昇が確認された。この結果は大腸菌を宿主とした組換えタンパク質を抗原としたときに、特異的IgMの誘導が見られた結果と一致していた。 今後は抗原をmRNAに替えた場合にいずれのIg遺伝子が誘導されるのか、などについてさらに詳細な解析を進めるとともに、抗原タンパク質を必要としない「mRNAワクチン」に関する研究開発を行っていく予定である。
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