研究課題/領域番号 |
19H02527
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
座古 保 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (50399440)
|
研究分担者 |
朝日 剛 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20243165)
小川 敦司 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (30442940)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 金ナノ粒子 / バイオ分析 / 高感度検出 / 暗視野顕微鏡 |
研究実績の概要 |
バイオマーカー等の分子検出には、これまでクロマトグラフィー法やELISA法などが行われてきたが、早期疾病診断のためのバイオマーカー分子の検出感度は未だ不十分であった。本研究では、金ナノ粒子を用いた分子検出法の高感度化を目指している。これまでにターゲット分子依存的な金ナノ粒子凝集に光をあてたときの散乱光強度を暗視野顕微鏡観察することによるナノ粒子凝集検出手法を提案してきたが、汎用性および感度に課題があった。 そこで本研究では、ナノ粒子凝集の散乱光スペクトルに注目した高感度化、ナノ粒子の表面設計による様々な分子検出系の確立、および生体試料中での検出応用を目的とした。生体試料中における分子検出を行う場合、それらに含まれる化合物によるナノ粒子の非特異的凝集を抑制する必要がある。たとえば、カナマイシンのような正電荷を持ち親水性を示す化合物が金ナノ粒子を非特異的に凝集させることが報告されている。 本年度は、化合物による非特異的な凝集を抑制し、かつ標的検出を行うためのナノ粒子表面へのDNA修飾を検討した。まず非特異的な凝集を抑えるためにAuNPsをDNAで高密度に覆った。さらに標的検出を可能にするために、固定化したDNAにDNAアプタマーを修飾した。モデル標的分子として、エストロゲンの1種である17β-Estradiol (E2)を用いた。E2は下水処理場に隣接した河川やE2を含む肥育ホルモン剤を利用する家畜場周辺の河川などの環境水から検出される。本年度は密生DNA修飾を施した金ナノ粒子を用いて、凝集を誘導する化合物が含まれるモデル夾雑試料中からのE2検出に成功した。 生体試料中における検出応用のためには、簡便にナノ粒子凝集を観察する必要がある。本研究では、スマートフォンを用いたポータブル暗視野顕微鏡を開発した。これにより、高感度かつ簡便な分子検出が可能となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ粒子表面にDNAを密生させることで非特異的凝集を抑制し、小分子検出できることを示すなど、有用な知見が得られている。また、持ち運び可能な暗視野顕微鏡開発に成功するなど、研究は順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
金ナノ粒子凝集の散乱光観察による分子検出の汎用性を高めるために、様々な分子検出を行う。シグナル増幅などにより、高感度分子検出可能な系の基盤技術を構築する。
|