【本年度の目的】 本年度は、オニグモを対象としてその縦糸タンパク質遺伝子をクローニング(目標8kbp以上)し、その配列を決定した上で、遺伝子組換えカイコの導入するクローンを得ること、である。 【本年度の実績】 本年度は、当初計画に従って、まず茨城県つくば市においてオニグモ(Araneus ventricosusu)成体を屋外採取し、使用した。採取個体から、糸腺組織を採取(主要糸腺をすべて採取)しmRNA調整したのち、縦糸タンパク質遺伝子に特異的なプライマーを用いて逆転写した。SMART法にしたがって、テンプレートスイッチから2nd strand cDNA合成したのち、In-Fusion法により発現ベクターへのcDNAのディレクショナルクローニングを行った。得られたcDNAライブラリから縦糸タンパク質遺伝子クローンを濃縮するため、縦糸タンパク質遺伝子の部分配列を用いたコロニーハイブリダイゼーションによって37クローンのcDNAを選抜した。そのうち、目的とする8kbp以上のクローンは15クローンであった。それぞれのクローンについて、5'、3'のシーケンスを確認したところいずれもクモ糸を構成するタンパク質遺伝子と考えられたが、フレームシフト等が無く使用可能なクローンは1クローンのみであった。当該クローンについて全長配列を決定するため、ナノポアシーケンサによるドラフト配列の取得し、さらにデリーションクローン49クローンを作製して配列解析してドラフトシーケンス場にマッピングすることで、全長9335bpのcDNA配列を決定した。 本クローンでは、フレームシフトが認められないことから、遺伝子組換えカイコに導入するクローンとして選定した。
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