研究課題
超微細なサブナノメートルサイズの金属コア(構成核数10個程度)をもつ有機配位子保護金属クラスターは、金属コアの構造や核数などのわずかな違いが金属クラスター全体の機能物性に大きな影響を及ぼす可能性が指摘されている。近年こうした金属クラスターの精密合成法や幾何構造決定に関する研究が劇的に進展し、これらをベースに様々な金属クラスターに関する構造と機能の相関が明かされてきた。機能性ナノ材料の素材の候補としての注目が高まり続けている金属クラスターにおいて、新たな機能開拓を押し進めていくことは重要である。そこで本研究では、金属コアの周囲を取り囲む有機配位子からなる配位子環境に着目し、官能基修飾された有機配位子を金属コア上へ導入し、有機配位子間の相互連結により配位子のネットワーク形成を行うことから新奇な金属クラスターの創製を試みた。そして、得られた金属クラスターの基礎的性質を評価し、この系独自の構造・機能を探究を行った。その結果、適切な有機配位子を用いることで金属コア構造を維持したまま金属クラスターによるネットワーク形成が行えることが明らかとなった。また、溶媒への溶解性を利用することで金属クラスターによる凝集体を溶液中で形成させ、こうした金属クラスターの集合化が吸収・発光応答につながることを示した。さらに、金属コア上の配位子環境と金属コア構造の関係を統計的な解析から明らかにし、配位子環境のごく僅かな変化が金属クラスターの光学特性に影響を与え得ることを実験・理論の双方の手法から明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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