本研究では、π電子骨格とアルキル鎖からなる有機半導体において厚みが均質な単結晶薄膜を作製する独自技術をもとに、有機薄膜トランジスタ(TFT)の高性能化に取り組んだ。まず、半導体層の層内分子配列がπ骨格やアルキル鎖それぞれの秩序化が拮抗することにより決定づけられていることを見出した。こうした知見をもとに、層状結晶性や熱耐性に優れる高性能有機半導体を開発した。また、半導体層を撥液性の絶縁層表面に形成することで、スイッチング性能に優れた有機TFTの作製に成功した。こうした取り組みにより、従来課題とされてきた高効率キャリア輸送と安定駆動の両立が可能になり、今後のデバイス製造の基盤となる技術が得られた。
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