研究課題
本研究では、MBE法による二次元物質のエピタキシャル成長を軸に、様々な二次元物質を積層させた超構造において発現する新しい物性や機能性の開拓に取り組んでいる。研究は超伝導ファンデルワールス超構造に関するものと磁性ファンデルワールス超構造に関するものに大きく分けられる。前者では、3R-TaSe2に代表されるイジング超伝導体と各種二次元磁性体との積層超構造を構築し、接合デバイスの評価などを通して特異な超伝導状態を観測することが最終目標の一つであるが、それに向けての主な課題は、①3R-TaSe2中の極性ドメインの配向制御、②電子線リソグラフィを用いた微細加工プロセスの確立、③二次元磁性体との良質な界面形成、の三点である。昨年度は主に①と②に取り組み、極性ドメインの割合にアンバランスを生じさせることと、微細加工プロセスを確立することに成功した。今年度は、そのような極性ドメインの割合にアンバランスを有する3R-TaSe2薄膜に微細加工を施した微小試料に対して非相反抵抗測定を行い、面内対称性の破れに起因した非相反シグナルを検出すると共に、極性ドメインサイズに関する知見を得ることに成功した。また、③に関しては、3R-TaSe2と二次元強磁性体Cr3Te4の積層超構造の構築に取り組み、製膜手順や表面処理などを工夫することで良質なヘテロ界面を形成可能であることを確認した。一方、後者では、まずV5Se8 / NbSe2界面においてNbSe2がフェロバレー強磁性状態を形成していることを明らかにし、論文にまとめて投稿した。また、NbSe2の層間にCrが規則正しく配列したCr1/3NbSe2が単層極限において遍歴的な二次元XY強磁性体として振る舞うことや、異なる面内配列構造を持つCr1/4NbSe2は厚膜極限でも強磁性秩序を示さないことなどを明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 5件、 招待講演 6件)
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