研究課題
互いに面内回転した(ツイスト角度)グラフェンを2層重ねると,ツイスト2層グラフェン(TBG)となる.本研究では,SiC基板上のエピタキシャルグラフェン成長・剥離・転写手法を用いて,最終的にツイスト角を制御した大面積TBGを作製し,それらの電子物性を明らかにすることを目的とした.1.CVD法による大面積エピタキシャルグラフェンの成長:エチレン/酸素微量添加により剥離容易なグラフェンがエピタキシャル成長することをベースとして,更なる高品質化(大面積化,モフォロジーの改善,剥離性の改善,欠陥低減)を検討した.特に問題となっている樹枝状のモフォロジーの形成機構として,初期状態である6√3バッファー層の成長後にエチレン分解により生じた水素がSiCステップ端と反応し,SiCがステップ端から樹枝状に成長することを明らかにした.結果としてエチレン濃度を高くすることにより改善できることがわかった.2.ツイスト角度制御:エピタキシャルグラフェン/SiC基板を貼り合わせるときに,SiC基板端面(2枚)へのレーザー反射スポットを利用することにより精密に角度を制御できることがわかった.反射スポットとステッピングモーターで0.1°の角度を制御し,0.7~4.0°の範囲で角度制御が可能となった.ツイスト角度はスポットプロファイル型LEED(SPA-LEED)を用いて評価した.3.電子状態評価:得られた様々なツイスト角度を有するTBG角度分解光電子分光(ARPES)を用いて電子状態の評価を行い,タイトバインディング計算による電子状態計算と比較した.構造緩和を取り入れた計算と比較的合う結果を得たことから,理論的に提案されている局所構造緩和が実際に生じていることが示唆された.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physical Review Materials
巻: 5 ページ: L051001-1 -6
10.1103/PhysRevMaterials.5.L051001