研究課題
本研究では、研究代表者がこれまで開発してきたレーザーアブレーションをベースとした結晶化制御法の更なる技術発展することで、有機結晶の大型化・高品質化に関する新しいアプローチを開拓することを目指している。令和2年度は主に(1)レーザーアブレーションによる有機電気光学結晶の大型化と(2)レーザーアブレーションによる結晶核発生条件の最適化、に関して成果を得た。(1)に関しては、次世代の電気光学材料として期待されている、有機結晶DASTおよびDASCについて、レーザーアブレーションによりその大型化が可能であることを見出した。具体的には、結晶表面の局所領域のレーザーアブレーションを誘起すると、その結晶面の成長が特異的に加速することを見出した。また興味深いことに、結晶がレーザーアブレーションにより局所的に破壊されているにも関わらず、結晶の非線形光学特性が維持されていることを見出した。以上の成果は、レーザーアブレーションによって大型の有機電気光学結晶を作製できうることを示唆しており、The Journal of Physical Chemistry C誌に原著論文として発表した。(2)に関しては、レーザーアブレーションによる融液系の結晶核発生を初めて開拓した。融液系は溶液系と比較してシンプルな1成分系であるため、核発生のメカニズム解明や最適条件探索をする上で格好の対象である。本研究では、レーザーのパルス時間幅、エネルギー、ビームプロファイルについて系統的に変えながら、高い核発生確率が得られる条件を見出すことに成功した。以上の成果は、Applied Physics Expressに原著論文として発表した。また以上に加えて、レーザーアブレーションによる加工技術の高度化などを進め、さらにレーザーを用いた結晶化制御に関するこれまでの成果をレーザー研究誌にレビューとして発表した。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究2年目の段階で、当初計画であるレーザーアブレーションによる結晶核発生および結晶成長の制御法の更なる技術発展を達成し、さらに有機電気光学結晶作製への応用も実現した。さらには得られた成果により、新しい研究展開が得られており、本研究は当初の計画以上に進展していると言える。
今後も本技術を様々な有機結晶作製に応用するとともに、他の光技術とも組み合わせながら大幅な技術高度化を目指す予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
The Journal of Physical Chemistry C
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