研究課題
軽元素でX線侵入が深く、禁制反射の多いダイヤモンドは、転位評価が困難であり、転位ベクトル解析すら困難であった。高出力パワーデバイスや量子デバイス実現に向けて極めて重要な「転位」に対し、正確な転位解析手法の開発を目指した。また各基板の転位の同定、影響調査を行い、各応用における課題を明らかにすることを目指した。放射光施設の単色X線を用いたX線トポグラフィを、<404>ベクトルを用いて、反射モードにて観察を行い、三次元情報が二次元フイルムに転写される幾何学的解析を行った。転位の開始点と終点の二平面を考え、直上/直下の仮想点を含む幾何をベースに、入射角・入射方向及びブラッグ角の変数として、投影位置を計算し、転位方向同定に成功した。また消滅観測を用いてgb解析からバーガーズベクトルが決定でき、さらに転位の種類を決定することが出来た。これを用いてNドープ及びアンドープ絶縁HPHT合成基板全体の転位解析を実施した。前者の転位ベクトルは<211>, <121>及び<112>系が主流であるのに対し、後者は転位の84%が<101>系であるなど、結晶成長様式が異なる事が明確になった。カソードルミネセンスを用いてエピ成長膜のBand-A発光を計測し、転位と比較検討した。量子デバイスに用いられる量子ビットに用いられるNVセンターに関して、Nドープエピ膜の、転位部でのNV発光の深さ方向計測を実施したところ、10~30倍の強度を観測し、空孔を多数有する転位部に形成され易いことがわかった。またデバイスへの影響評価を行うにあたり、CVD薄膜成長を行った。薄膜中にホウ素を1017 cm-3程度をドープすることでショットキーダイオードを作製できるようにし、CVD薄膜中の欠陥構造と漏れ電流特性の相関を得た。その他転位深さ情報、エピにおける一点から複数転位発生等々、転位に関して様々な有用な情報を得ることができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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