研究課題/領域番号 |
19H02622
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小澤 祐市 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (90509126)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レーザー顕微鏡法 / 3次元イメージング / 光ニードル / 2光子励起 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,レーザー走査型顕微鏡法において光ニードル状の励起スポットを用いることに加えて,検出光に対する波面制御を駆使した空間座標変換を行うことで,1回の2次元走査のみから3次元情報を取得する高速なイメージング方法を確立することである.本年度は,これまで研究代表者が構築してきたイメージングシステムに対して,1次元のアレイ型検出器を導入し,励起光に対する2次元ガルバノ走査に同期した高速な画像取得システムの構築を進めた.システム構築はほぼ完成し,実際に画像取得を試みたところ,本年度に採用した1次元のバンドルファイバーを接続した16 Chのアレイ型高感度検出器においても,蛍光信号を十分取得できることがわかり,画像構築ができることを実証した.また,取得データ範囲を制限することで,ビデオレートでの3次元画像構築も可能である結果が得られた.現状のイメージングシステムでは,使用しているガルバノミラーおよび信号処理システムが画像取得速度を制限していることがわかり,これ以上の高速化・高解像度化には各コンポーネントの改良が必要であることも判明した. また,本手法のコアとなる空間座標変換について,計算機ホログラムの原理に基づく深さ情報抽出のための位相波面設計に着手した.使用しているバンドルファイバーに最適化した波面設計のためのアルゴリズムを開発し,当初の目的に通り,深さ方向・面内方向に対する線形な座標変換が可能であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現状のシステムにおいて,当初の最終目的であるビデオレートでの3次元イメージングが可能であることを示唆する結果が得られ,本手法のポテンシャルを実証することに成功した.また,本研究において実施を予定していた空間座標変換に対する計算機ホログラムの導入に関して,波面の最適化についての設計指針やアルゴリズムについて新たな知見が得られることに加えて,深さ情報取得に対する線形性を本年度中に実証できたことは,当初の計画以上の進展であり,本成果を踏まえて次年度以降にさらなる実証実験を進める.
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に実証したイメージング性能を踏まえ,種々の試料に対する3次元ビデオレートイメージングを実施する.また,現状のシステムには高速化に対する性能限界に達しつつあるため,さらなる高速化を見据えたシステムの改善の検討を進める.さらに,計算機ホログラムの設計の最適化を進め,より広い深さ範囲での3次元可視化を実現するイメージング性能を追求する.
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