研究実績の概要 |
本研究では、レーザー走査型蛍光顕微鏡法において、走査励起光を長焦点深度のニードル状スポットとし、さらに蛍光信号に対する波面制御によって3次元画像を高速に取得する方法論の開発を目的としている。前年度までに導入を完了した1次元アレイ型のバンドルファイバーと、レーザー走査に同期した画像取得システムに基づいて、種々のサンプルに対する3次元画像取得の実験および検証を進めた。高速な3次元イメージングの実証実験系として、水中に分散した蛍光ビーズを観察対象とした。本システムを用いて、ビデオレートでの3次元イメージングを実施し、水中における個々の蛍光ビーズのブラウン運動を可視化できることがわかった。また、計算機合成ホログラム(CGH)の原理による線形面内シフト型の点像分布関数の設計についても進めた。一例として、本顕微鏡光学系において、20 μmの深さ範囲を16点に分割するCGHを設計し、実際に検出側光学系に設置した空間光変調器に設計波面を投影することで、設計通りの面内シフト特性が得られることを確認した。本CGHを用いることで、開口数1程度の水浸対物レンズ(倍率40)の観察条件で、20 μmの深さ範囲をニードルスポットの1回の2次元走査のみから高速に3次元画像構築が可能であることを実証した。さらに、本システムでは、コンピュータ上からCGHを切り替えるだけで、観察深度をプログラマブルに変えることが可能となり、例えば10, 15, 20, あるいは50 μmの範囲を16分割で高速に画像取得できることがわかった。
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