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2020 年度 実績報告書

超広帯域量子もつれ光子対と超伝導転移端センサによる単一光子単一画素イメージング

研究課題

研究課題/領域番号 19H02633
研究機関日本大学

研究代表者

井上 修一郎  日本大学, 理工学部, 教授 (30307798)

研究分担者 行方 直人  日本大学, 理工学部, 准教授 (20453912)
福田 大治  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 首席研究員 (90312991)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード伝令付き単一光子 / 単一画素イメージング / 圧縮センシング / 単一光子検出
研究実績の概要

本年度は、長さ 30 mm の周期分極反転ニオブ酸リチュウム導波路(PPLN-WG)を波長 777 nm、パルス幅 ~ 30 ps、繰り返し周波数 1 GHz の光パルスでポンプすることで自然パラメトリック下方変換により波長 1554 nm の光子対を発生させた。この光子対を 50/50 ビームスプリッターで分離し、片方の光子を超伝導ナノ細線単一光子検出器(SSPD)で検出し、その検出信号をトリガー信号として空間結合型 InGaAs/InP 単一光子雪崩フォトダイオード (SPAPD)を動作させ、単一画素イメージング光学系を通過したもう一方の光子(伝令付き単一光子)を検出することで同時計数率を測定した。このとき、同時計数率は 36 Hzであった。
次に、この伝令付き単一光子を光源、空間結合型 InGaAs/InP SPAPD を単一画素とした単一光子単一画素イメージング実験を行った。通常の単一画素イメージングでは、観察対象を透過または反射した光を Digital Micromirror Device (DMD)でサンプリングして画像再構築を行うが、本年度は観測対象のデジタル画像と DMD のサンプリングパターンとの AND 演算の結果を DMD に表示することで擬似的に観察対象のサンプリングを行った。DMD のサンプリングパターンとしては Random Hadamard 行列と Russian Dolls を使用した。総画素数は 64×64 = 4096 である。
1つの DMD パターンに対して 5 秒間伝令付き単一光子を照射した場合、DMD パターンとして Russian Dolls を使用すると、圧縮率約10 % (DMDパターン数 = 400)で良好な画像を再構築することができた。これは、72000 個の光子検出で 4096 ピクセルの画像が得られたことになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、単一光子を光源、単一光子検出器を単一画素とした単一画素イメージングの実証がメインテーマである。本年度は、伝令付き単一光子源を開発し、これを光源として単一画素イメージングの実証実験に成功した。この伝令付き単一光子源の帯域を拡張し、単一光子検出器として光子の波長測定が可能な超伝導転移端センサを導入することにより、最終目標である単一光子単一画素分光イメージングを実現することができる。

今後の研究の推進方策

本年度は波長 1550 nm の伝令付き単一光子源を光源、InGaAs/InP 単一光子雪崩フォトダイオード(SPAPD)を空間結合型単一光子検出器として単一光子単一画素イメージングシステムを構築した。今後は、伝令付き単一光子源の広帯域化及び超伝導転移端センサによる単一光子の波長測定を導入することにより、本研究の最終目標である単一光子単一画素分光イメージングシステムを構築する。伝令付き単一光子源の広帯域化に関しては、PPKTP を中心波長 370 nm、パルス幅 100 fs の光パルスでポンプすることにより、非縮退の位相整合条件下で可視領域と赤外領域に波長をもつ光子対を発生させる。この光子対をダイクロイックミラーで分離し、赤外領域の光子を超伝導転移端センサで波長測定することで、可視領域の光子の波長を知ることができる。この波長情報を付帯した可視領域の単一光子を光源、空間結合型 Si 単一光子雪崩フォトダイオード(SPCM)を単一画素として単一光子単一画素分光イメージングを行う。また、単一画素イメージングに深層学習を導入することで高画質化及び画像取得時間の短縮化を目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 その他

すべて 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [備考] 単一光子単一画素イメージング

    • URL

      http://www.quant-ph.cst.nihon-u.ac.jp/qog-nu/?page_id=12#theme01

  • [産業財産権] 量子画像伝送システム2020

    • 発明者名
      井上修一郎
    • 権利者名
      日本大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2020-012762

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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