本研究では、保磁力分布や相互作用分布を同時に評価可能な磁気1次反転曲線(FORC)法による照射硬化の磁気的評価の可能性を検証した。誘導起電力型のFORC測定装置を用いて、計9種類・8照射条件について、約150個の試料のFORC測定を実施した。殆どの試料で、FORC図上で明瞭な単一FORC分布ピークが観測された一方、FORC分布ピークの位置及び幅が照射量に依存することが分かった。FORC法を用いることで、照射誘起ナノスケール欠陥密度の増大効果だけでなく、その空間分布特性も捉えることが可能であることが明らかになった。
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