研究実績の概要 |
異なる地質の地下研で深部地下水を採取し、ここにランタノイドやアクチノイドを添加し、分析によりこれら核種の溶解度や移行を支配する地下水成分を明らかにする。 本年度は、JAEA幌延深地層研究センターおよびJAEA瑞浪超深地層研究所の地下研究施設にて、それぞれ深度350mの新第三紀堆積岩系地下水と深度300mの結晶質岩系地下水を採取し、ここに、マイナーアクチノイドと化学的挙動の近いアナログ元素としてランタノイド(La, Sm, Ho)およびUを添加、核種が地下水に接触した場合を想定した試料を作製した。 次に、この試料を孔径の異なる二種類のフィルタで逐次ろ過した。ろ過前の試料と第1段階のフィルタでろ過した後のろ液試料、第2段階のフィルタでろ過した後のろ液試料の、各溶液試料中の添加元素(La, Sm, Ho, U)濃度を測定することで、深部地下水中の添加元素の固液分布を調べた。さらに、化学平衡計算を行い深部地下水中での添加元素の化学種を推定した。また、溶液試料をろ過したフィルタ試料の表面分析を行うことで、平衡計算より示された添加元素の固相化学種がフィルタに捕集されているか確認した。 以上の分析及び解析の結果、3価陽イオンとなるLa, Sm, Hoはリン酸イオンにより沈殿種が形成される傾向が有り、一方、ジオキソイオンとなるUはどちらの深部地下水中でも溶存種として存在し、その化学種は炭酸錯体とみられる。これらの結果は既存の熱力学平衡定数を用いた化学種平衡計算の結果と整合的であった。
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