研究課題
放射線を照射した伝熱面で、伝熱劣化現象が発生しうることが実験的に確認された。放射線にさらされている、原子炉炉内において、この現象が発生すると、原子炉が事故時に想定よりも早く溶融することや、より早期に放射性物質が環境に放出されることにつながる。 原子力発電所の安全性の根幹を揺るがす可能性がある。このため、その伝熱劣化現象が発生する条件を明確化するとともに、その対策を取るために研究を進めてきた。具体的には、実験によって、伝熱劣化現象を評価するとともに、そのメカニズムを明らかにすることを進めてきた。実験は、ガンマ線または電子線照射した銅ブロック、アルミブロックを中心として、表面の沸騰現象がどのように変化するかを画像解析によって評価してきた。本現象は、特に沸騰気泡と伝熱面の関係が重要であることを見出し、核沸騰状態を維持するための微小液膜の挙動に着目した。照射によって、表面濡れ性が変化し、その結果として限界熱流束が増大することは知られてきたが、表面濡れ性はほとんど変化しないにもかかわらず、限界熱流束が減少することについては、局所的な濡れ性だけではなく、システムとしての沸騰伝熱面の関与がある可能性がある。画像解析の結果、照射後の伝熱面では、特に伝熱面中央での沸騰核が一時的に減少し、また、この条件で限界熱流束が大きく下がることを明らかにすることができた。照射による表面の微細構造がマクロ伝熱に影響している。なお、実機においては、極めて大量のガンマ線環境下にあり、表面のミクロ変化は十分に回復していると考えられる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nuclear Engineering and Technology
巻: 53 ページ: 2839~2846
10.1016/j.net.2021.03.024
International Journal of Heat and Mass Transfer
巻: 165 ページ: 120660~120660
10.1016/j.ijheatmasstransfer.2020.120660