研究課題/領域番号 |
19H02647
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
大貫 敏彦 大妻女子大学, 人間生活文化研究所, 特別研究員 (20354904)
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研究分担者 |
劉 江 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 博士研究員 (00839095)
宇都宮 聡 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40452792)
高野 公秀 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, リーダー (40501367)
田中 万也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (60377992)
香西 直文 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主席 (80354877)
西口 規彦 北海道大学, 工学研究院, 特任教授 (40175518)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 原子力発電所事故 / 核燃料デブリ / 微生物 / 核燃料デブリ溶解 |
研究実績の概要 |
福島第一原子力発電所(1F)の事故により、溶融燃料とコンクリートとの反応(MCCI)生成物などを対象として燃料デブリの微生物による劣化機構を明らかにすることを最終目的とする。そのため、SiO2、ZrO2などが溶融・固化した模擬デブリ及びUなどを添加した模擬デブリを作製する。作製した模擬デブリを微生物と共に培養液中に添加し、各元素の溶出濃度変化を調べる。さらに、模擬デブリのマトリックス構造の変化や損傷や漏出するU等元素の化学状態を電子顕微鏡、放射光分析により明らかにする。結果に基づき、MCCI生成物の微生物により劣化し易いマトリックスを明らかにし、マトリックスの劣化によるUなどの漏出機構を解明する。 そのため、モデル微生物としてBacillus sp.のシデロフォア生成菌を用いてウランを含有する模擬デブリの存在下において溶解試験を実施した。実験では、寒天培地法を採用し、模擬デブリとしてUO2、ZrO2を主成分としてSUSを加えたものを、寒天培地上に生育した微生物コロニー上に静置した。また、模擬デブリ成分との反応としてCeO2、ZrO2粉末試料を寒天培地上に生育した微生物コロニー上に静置した。 微生物と50日接触したCeO2及びZrO2試料を肉眼で観察した結果、大きな変化は見られなかった。さらに、接触したデブリ試料を電子顕微鏡で分析した。その結果、CeO2では微生物による溶解は見られなかった。一方、ZrO2試料では粉末以外にナノメータースケールのZrを含む粒子が検出された。この結果は、微生物によるZrO2の溶解を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により、当初はウランを用いる試験を除いた計画を立てた。しかし、9月以降ウランを用いる試験が可能となったため、使用施設と調整し、年度内に試験を行えることとなったため、計画を一部変更して、ウランを用いる試験を行うこととした。ただ、Ceを用いる試験も行っているため、ウランを対象とした試験試料の分析及び実験試料の解析が来年度にずれ込むことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
マトリックス組成として、U、Ce、Zr酸化物及びFe金属を主体とした模擬デブリ試料を作製する。作製した模擬デブリ試料を用いて微生物を用いて溶解試験を行う。実験で得られる試料について電子顕微鏡を用いて組織や組成を明らかにする。それらの結果に基づきモデル化に着手する。
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