研究課題
原子力発電所が発災した際、あらかじめ設置していた放射線モニターの測定データから放射性物質の放出率を迅速に逆推定する新たな手法の確立を目的として研究を進めている。本課題では、計算モデルによって得られる放射性物質の移流・拡散をレスポンス関数としてunfolding法で解くこと提案するとともに、地形の影響を受けにくく任意の地点を設定可能な海上特殊ブイを用いた放射線モニタリングシステムを開発する。今年度は、数十km沖合に設置が可能な海上放射線モニタリングブイの要素開発として、衛星通信を用いたデータ回収実験を実施した。衛星通信モジュールを小型のLinuxPCで制御し、Circuit Switched Data方式でデータ通信を行うプロトコルを作成した。 一定時間ごとに保存される線量率及びスペクトルデータを、作成したプロトコルを用いて地上に設置したホストPCへの転送した。地上における予備実験の後、ブイに搭載予定の機器一式を小型船舶に載せて海上実験を実施した。その結果、数KBのデータを地上及び海上から転送することに成功した。また、専門業者の協力を得て、ブイ設置にかかる法令及び手続きを整理した。これを受け、実用上のポイントとして、①本課題で想定している放射線モニタリングブイは航路標識法の適用を受け、許可標識に分類され、一定の光度を満たした灯標の設置を行う必要があること、②漁業権が設定されている海域もあるため、自治体や漁業組合との打ち合わせが重要であること、及び③ブイの満たすべき条件として、最低でも10年は連続して使用が可能なほどプラットホームとして強固であること、を明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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ESI-NEWS
巻: 40 ページ: 9-17
神戸大学大学院海事科学研究科紀要
巻: 18 ページ: 36-40