研究課題/領域番号 |
19H02658
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
郷右近 展之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20361793)
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研究分担者 |
清水 忠明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10211286)
長瀬 慶紀 宮崎大学, 工学部, 教授 (90180489)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高温太陽熱 / エネルギー変換 / 水素エネルギー / バイオマス / 熱分解 / ガス化 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は大型太陽集光システムで得られる~1000℃の高温太陽集熱を利用し、炭素資源の太陽熱ガス化により水素を製造するソーラーガス化水素製造システムを開発することである。すなわち、未利用炭素資源を連続供給しながら流動層化し高温熱でガス化を行う「未利用炭素資源供給型の流動層ソーラーガス化水素製造システム」の開発を行うことを目的としている。2020年度は未利用炭素資源としてコーヒー残渣を選定した。これまでコーヒー残渣はリグニンとセルロースを多く含むことから、熱化学的変換(熱分解やガス化など)や生物化学的変換(メタン発酵など)により、バイオ燃料やバイオリファイナリーの生産が研究されてきた。しかし、太陽エネルギーによるコーヒー残渣の熱分解についてはこれまで報告例がない。そこで、このバイオマス粒子の熱分解温度の探査を目的として、熱重量分析器を用いてコーヒー残渣バイオマスの熱分解温度と生成ガス/バイオオイル/固体成分チャーの関係を調査した。昇温速度により熱分解成分の割合が変化することを明らかにした。さらに5kW流動層反応システムを用いて疑似太陽集光照射による昇温試験および熱分解試験を行った。流動層反応器に備え付けたヒーターによる低速加熱熱分解と、疑似太陽集光照射による高速加熱熱分解を実験的に比較し、バイオマス試料の熱分解により生成するガス種を計測・特定した。熱分解ガスの生成総量は低速よりも高速熱分解の方が多く、低速に比べて高速熱分解では2次分解反応が良く進行することが主要因と推察した。熱分解の前半では、高速熱分解ガスの総量が最も大きく、C2H6は高速熱分解においてのみ検出されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疑似太陽集光による流動層反応システムでバイオマスの熱分解と昇温速度との関係を明らかにしている。生成ガス種とガス量についても定性定量分析済みであることからおおむね順調に進展している。炭素資源の連続供給系についても反応器システムに組み込み済みであり、運転についてもコークスをモデル試料として実験的に検証済みである。熱分解で得られたチャーはガス化可能な状態であり、流動層反応器の運転についても支障はない。集光照射加熱により反応システムの下でガス化を行える見通しが立っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、集光照射加熱による熱分解プロセスの詳細条件を検討するとともに、集光照射加熱で得られたバイオマスチャーの水蒸気ガス化を流動層反応器にて実施する計画である。バイオマスの連続供給下での熱分解・ガス化についても検討する予定である。
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