研究実績の概要 |
均一なゲル媒体において反応種Aと反応種Bの沈殿形成反応を特定の時空間分布(C(A)=f (x, y, z, t), C(B)=f (x, y, z, t))にて発現させると、AとBの生成物Cが一定の規則性因子(α)で周期的析出する現象が発現する。これまでは自然界で発現する類似構造の周期性の中の極めて一部の構造しか再現できておらず、生命システムにおける反応空間媒体の不均一性・勾配を無視した均一ゲル媒体を用いたことが原因であること本研究では作業仮説として着目した。そこで今年度は、反応種濃度C(A) およびC(B)に加え、ゲル媒体の濃度の時空間的勾配C(G)=f (x, y, z, t))も制御したゲル薄膜を用い、生命システムを含む自然界に普遍的な規則性因子αの支配因子解明を目指した実験と、その反応拡散方程式の数値解析シミュレーション解析を実施する。その目的へ向け、C(A),C(B), C(G)の三つの変動因子と規則性因子αの関係性をゲル薄膜を用い実験的に明確化するとともに、成分A, B, C, X(=中間体)の全成分の濃度の時空間発展を記述した偏微分方程式を数値解析的シミュレーションに基づいて、αの制御を司る化学的因子の明確化を行った。その結果、作業仮説の通り、ゲル媒体の不均一性(化学的勾配)が発現する構造に重要な影響を及ぼすことが実験的に明らかとなり、また、数値解析的シミュレーションにより、その因子が核形成に対する時空間的な不均一性(勾配)に起因することが明らかとなった。
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